研究課題/領域番号 |
16K04222
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
新川 泰弘 関西福祉科学大学, 教育学部, 准教授 (60352861)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域子育て支援拠点 / ファミリーソーシャルワーク / 実践教育モデル / 開発的研究 / 反省的実践 |
研究実績の概要 |
まず,地域子育て支援拠点におけるファミリーソーシャルワーク実践教育モデルの開発的研究に取り組む研究の背景と研究の意義を整理した.次に,ファミリーソーシャルワーク実践教育モデルの開発的研究における理論的拠り所とした岡村重夫によって構築されたわが国固有のソーシャルワーク実践理論,芝野松次郎による人と環境との接点に介入する実践モデル(PEIM:Person Environment Interface Management)開発研究理論,山縣文治による子どもと家族を巡る社会関係の二重構造理論,Carel B. Germain & Alex Gittermanによる生活モデル,Peter J. Pecora.et al.による子ども家庭中心サービスの総合的な枠組み等と,John Dewey(1910)による反省的思考,Donald A. Schön(1984)によるリフレクティブプラクティショナー等との関係性について論じた.そして,それらをふまえて実施した調査研究の結果から示唆されたネットワーキングとアウトリーチの重要性を含むファミリーソーシャルワーク実践教育の理論的構造に基づいた実践教育を試行し,現在,その成果を分析,考察している.これに加えて,芝野(2015)によるM-D&DにおけるフェーズⅢ(試行と改良)に取り組むため,地域子育て支援拠点事業再編後における地域子育て支援拠点利用者の子育て環境と利用者ニーズの構造とそれらの関連性を明らかにするため,一般型の地域子育て支援拠点を対象とする調査を実施した.その後,調査研究結果を考察し,地域子育て支援拠点に求められている利用者支援や地域支援のニーズに対応していくため,利用者ニーズを個別に把握して,サービスに的確につないでいくソーシャルワークの重要性を指摘する論文を執筆した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反省的研究から実証的研究に架橋するファミリーソーシャルワーク実践教育モデル開発に取り組むにあたり,この分野の先駆的研究者である関西学院大学芝野松次郎教授と関西大学山縣文治教授から専門的知識について継続的に助言,指導を受けて,研究に取り組んでいる.そのため,今後も持続的,計画的に,助言・指導を受けながら実践教育モデル開発研究を推進していく予定である.そして,これまでの研究においても研究協力を得ている基礎自治体の児童福祉課,社会福祉法人,地域子育て支援拠点にも協力を得て,今後も引き続き研究を推進していく予定である.なお,これまでに研究協力いただいた関係機関,実践者,研究者に対しては,調査研究成果を随時フィードバックしている.また,教育研究成果は,報道機関を通じて広く社会に情報を発信してきたため,今後も引き続き研究成果や研究を通して得た情報は地域社会へ発信していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2018 Joint World Conference on Social Work and Social Development,日本子ども家庭福祉学会,日本社会福祉学会,教育改革ICT戦略大会,大学教育研究フォーラムなどで,研究成果を国内外に幅広く発表,報告していく予定である.また,量的な調査研究に加えて,質的な調査研究にも取り組み,結果を分析,考察していく.なお,質的調査と量的調査研究においては,これまでの研究成果に基づいて質問紙およびインタビューガイドを作成して,研究を推進していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
調査研究におけるデータ入力作業を次年度使用へと変更するとともに、本年度はアジア圏で開催された国際会議への出席であったため、経費を抑制できた。しかし、次年度はデータ入力作業経費が必要となるとともに、欧州圏で開催される国際会議へ出張するため,高額の旅費が必要となるため、本年度経費の一部を次年度使用することとした。
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