研究課題/領域番号 |
16K04227
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山本 隆 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (90200815)
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研究分担者 |
山本 惠子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (20309503)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多問題家族 / 社会的包摂 / 社会的企業 / 事業評価 / 福祉ガバナンス |
研究実績の概要 |
毎月ベースで、関西学院大学梅田キャンパスにて、英国の多問題家族と自治体・社会的企業の共同支援プログラムに関する文献を検討した。2016年8月22日~8月27日の期間に、多問題家族と貧困の実情を日本の脈絡で捉えるため、中核市で最も高い生活保護率を示している函館市で調査を行い、多問題家族が抱える生活困難の社会的経済的要因(産業構造の転換・人口の移動)および歴史的要因など構造的要因を把握した。第一に、同市保健福祉部高齢者福祉課を訪問し、高齢者貧困に関する情報を得た。第二に、函館生活と健康を守る会から同市の貧困の歴史的推移、申請受給の状況に関するデータを得た。第三に、保健福祉部函館市福祉事務所生活支援第1課から生活保護の受給状況、貧困の背景にある社会的経済的要因、年金受給権の掘り起こし作業などに関する情報やデータを得た。第四に、社会福祉協議会から生活福祉資金の利用状況に関する情報を得た。2017年3月19日~27日の期間に、代表者の山本隆は英国調査を実施し、3月21日に英国ノーサンプトン市を訪問し、ノーサンプトン大学ウェンディー・バナーマン准教授のヒアリングを行い、彼女が主宰する引きこもり問題に取り組む社会的企業ライツ・リゾリューションの視察を行った。翌22日にはキングストン大学キース・デービス教授を訪問し、国の多問題家族政策と自治体の対応に関する情報交換を行った。25日はトパーズを主宰するダイアン・ケンプ氏から社会保障給付の申請手続きに関するヒアリングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目である平成28年度では、英国の多問題家族に関する基本文献資料を検討し、多問題家族政策の現状を把握した。また日本の生活困窮者自立支援制度の調査を通して、日英の多問題家族の比較研究を試みることができた。さらには、英国の研究者との学術交流を通して、多問題家族の政策動向に関する豊富な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
毎月ベースで、関西学院大学梅田キャンパスにて、コミュニティ地方自治省が発表する「新多問題家族プログラム全国評価」を検討する。6月23日に、ノーサンプトン大学ウェンディー・バナーマン准教授を関西学院大学に招聘し、英国政府の多問題家族政策と自治体の対応に関する情報交換を行う。8月中旬に、山本隆と山本惠子は札幌市で調査を行い、多問題家族が抱える生活困難の社会的経済的要因(産業構造の転換・人口の移動)および歴史的要因など構造的要因を把握する。8月末までに、論文「英国の多問題家族と自治体・社会的企業の共同支援プログラムに関する研究」を脱稿し、『人間福祉研究』関西学院大学人間福祉学研究会に掲載する。10月には、ジョセフ・ラウントリー財団研究員クリス・グールデン氏を招聘して、国の多問題家族政策と自治体の対応に関する情報交換を行う。2年目の成果をとりまとめて、年度末に年次報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施した英国の調査において、当初予定よりも金額を抑えて実施することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
英国の研究者の招聘費用に充当する予定である。
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