【最終年度の成果】 〈研究会〉関西学院大学大阪梅田キャンパスにおいて、毎月定例で開催し、生活困窮者自立支援事業(日本)と困難家族プログラム(英国)に関する日英の文献調査を行った。〈国際セミナー〉2回開催した。①「英国の子どもの貧困」をテーマとし、講師にキティ・ステュワート准教授(LSE)を招聘した。開催日は2019年11月4日で、会場は関西学院大学大阪梅田キャンパスであった。②「生きづらさを抱える若者たち 日英の専門家の対話」をテーマとし、講師はワエル・アル・アベド氏(フリー・ジャーナリスト)と米田光晴氏(京都ユースサービス協会)であった。開催日は2020年2月23日で、会場は関西学院大学大阪梅田キャンパスであった。〈研究論文〉①「試論 都市コモンズから『共を』問う ―英日の動向を踏まえて―」『賃金と社会保障』では、困難家族とコモンズ(住民所有型パブ・アイビーハウス)の関係を考察した。②「福祉コモンズと社会的企業」『Human Welfare』では、貧困者を対象とする社会的企業(マナーハウス開発トラスト)の事業分析に重点を置いた。 【補助事業期間全体を通した成果】 多問題家族の政策について「統制」「合理化」「抵抗」という独自のガバナンス理論を構築するに至った。全体の成果は、『貧困ガバナンス論―日本と英国』晃洋書房、ⅰ-265、2019年3月30日発刊、として結実させている。同書は、多問題家族対策の政策評価を行うために、日英の家族介入政策を比較研究する形で、組織ガバナンス(政策意図と制度設計、中央と地方の政府間関係、民間委託などの公私間関係)、ソーシャルワーク(相談態勢、福祉課題の解決に向けた取り組み、諸資源の開発と調整)、費用負担(国の予算、地方補助金、委託を受けたプロバイダーへの出来高払い)などを検証し、福祉とガバナンスの双方の視野から研究成果を導いた。
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