研究課題/領域番号 |
16K04229
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石田 賀奈子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50551850)
|
研究分担者 |
伊藤 嘉余子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10389702)
吉井 美奈子 武庫川女子大学, 教育学部, 講師 (60413481)
野尻 紀恵 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70530731)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 社会的養護 / 社会福祉学 / ファミリーソーシャルワーク / スクールソーシャルワーク / 家族再統合 / サードプレイス |
研究実績の概要 |
2019年度のそれぞれの研究課題についての進捗状況は以下のとおりである。 1.児童養護施設退所児童のアフターケアとしての児童養護施設における家族再統合支援のあり方 研究課題(1)については、研究(1)「児童養護施設における家族再統合支援の先駆的実践事例に関する分析」を引き続き実施した。2018年度よりA県A市内の児童養護施設等の家庭支援専門相談員と協働のもと手掛けてきた「アドミッションケアの段階で必要な専門職連携のアセスメント項目」を取りまとめ、試行の段階に入った。市内の家庭支援専門相談員の試行を経て、改良を行っている段階である。今後、社会的養護につながる子どもと家族について、入所の段階で児童相談所と施設の連携と役割分担の遂行に資するアセスメントシートの完成、普及を目指す。 2.SSW等による地域における虐待再発予防のための支援のあり方 研究課題(2)については、研究(4)「スクールソーシャルワーカーによる家族保持のための先駆的実践事例に関する調査」の一環として、昨年度は高校内居場所の検討を行ったが、今年度は、家庭でもない学校でもない 「第三の居場所」としての地域におけるケアの実践を愛知県M市、兵庫県A市の実践事例をとりあげ分析した。子ども食堂や学習支援にとどまらず、子どもの育ちを地域の中で支える仕組みにソーシャルワーカーが関与し、生活上の課題を持つ子どもや子育て世帯の生活を支える仕組みを個別のケースのレベルではなく、地域レベルで構築していく仕組みと社会的養護の連携の必要が示唆された。 一方、家族再統合支援研究において、研究(3)「児童養護施設における家族再統合支援の実態に関する調査」の調査実施は次年度に実施となった。感染症対応の渦中ではあるが、各児童養護施設の協力を得て、一層社会的に弱い立場に置かれているであろう退所児童の支援についての調査を最終年度に遂行予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「児童養護施設退所児童の「地域再統合」」については、児童福祉施設や里親等、家庭外措置を基本とする「社会的養護の経験者」だけではなく、家庭の中に様々な課題を抱えながら地域で育つすべての子どものための支援モデルとして社会の中に備えられている必要があるのではないかと、実践事例の分析を通して方向づけられた。本研究を進める中で、「育つ子ども」への支援だけではなく、一人の大人として社会の中で自己肯定感を保持して生きていくためには、との連携も不可欠である。逆境体験を持つ若者の生活の支援において、児童養護施設はどのように専門性を発揮していくことができるのか、先駆的事例から引き続き検討していく。 一方で、実践事例の検討に基づく量的調査の実施が2019年度中にできなかったため「やや遅れている」とした。感染症の拡大により大きく社会状況が変化しているが、調査対象者の負担をできる限り軽くした形で調査を遂行し、調査結果を踏まえて最終的な実践モデルの構築に着手していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度のそれぞれの研究課題についての方向性は以下のとおりである。 1.児童養護施設退所児童のアフターケアとしての児童養護施設における家族再統合支援のあり方 研究③「児童養護施設における家族再統合支援の実態に関する調査」の実施及び分析が今年度の課題である。アンケート法による全国調査を行うが、感染症対策が必要な現状において、調査協力者が負担にならない形での実施方法を検討し、実施する。 2.SSW等による地域における虐待再発予防のための支援のあり方 研究課題(2)については、研究②「児童養護施設退所児童や家族を対象とした学校や地域での支援に関する実態調査」の結果を論文投稿するほか、研究④ 「スクールソーシャルワーカーによる家族保持のための先駆的実践事例に関する調査」について、引き続き事例研究を行うとともに、実践モデルとして提案していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由 人件費、印刷費等に大きな支出を必要とする量的調査を次年度に延長したため。 次年度使用計画 調査票の印刷・発送・返送にかかる費用と、データ入力・分析に関する謝金として使用する予定である。
|