研究課題/領域番号 |
16K04232
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
前田 美也子 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (50309027)
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研究分担者 |
前田 智子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00346298) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会福祉 / 貧困児童 / 韓国 / 会食サービス / 地域自立支援 |
研究実績の概要 |
韓国保健福祉省委託地域児童センター中央支援団「地域児童センター評価センターの文献・資料及び研究代表者が実施したソウル広域市内での研修に基づき、①運営基盤領域(職員体制・教育、年間事業計画書の体系、運営委員会の構成と運営、施設環境の適切さ、地域社会との連携)、②領域別プログラム運営(生活支援<保護>プログラム、教育支援<学習>プログラム、遊びと特別活動<文化>プログラム、ケースマネジメントプログラム)、③児童個別支援領域(児童基本情報管理、児童出欠管理と観察記録、児童・保護者との相談、児童個別サービス支援)、④総合評価領域の4領域について論点整理を行った。 特に生活支援プログラムの一つである食に関するサービスに関して、①夕食サービスと間食サービスの補助額、②食事・栄養内容、③主食・副食・おやつなどの1か月のセンター献立、④調理担当、⑤地域における食支援に関するフォーマル・インフォーマルシステム、⑥行政の役割、⑦民間の役割、⑧保護者の役割、⑨学校の役割、⑩専門職・非専門職による食事支援・介助状況、⑪児童のセンター利用開始時期からの変化(児童個別観察記録分析)、⑫保護者会での議論、⑬家庭での食事調査、などに着目し、支援体系の概念図を作成した。 全国にある地域児童センターを統括している保健福祉省から委託された地域児童センター中央支援団がソウル広域市内にある。そこに出向き生活支援<保護>プログラムにおける会食サービスの効果と課題に関して、本研究においてプレ・インタビューを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、韓国の地域児童センターにおける会食サービスを①生活支援、②教育支援、③文化支援、④ケースマネジメント支援の各種プログラムとの関連性のもと、児童に与える影響について、効果・要因・課題等を包括的・実証的に明らかにする予定であったが、質問紙調査とインタビュー調査の項目設定にあたり、翻訳も含めて、再調整が必要となった。 また、会食サービスニーズの高いセンター/児童館等の利用児童に対し、官能評価を実施し、おいしさと食べやすさの視点から食支援の改善を検討する点については、検査及び評価方法の手順について、食文化の相違点もかんがみ、再設定が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
韓国における地域児童センターを対象とした質問紙調査:韓国では保健福祉省、教育省、女性家族省の3つの省により放課後児童に対するサービスが提供され、省庁間での調整が十分に行われていないことが指摘されている。また、夕食サービスに関しても各機関における役割分担が整理されておらず、センター、学校等で食事サービスの重複がみられる。センターが設置されてから10年以上経過したが、省庁間のサービス調整の課題が地域に具体的に表出しており、地域レベルでのサービス提供機関の連携・協働の必要性が継続的課題である。したがって、地域に波及する食事サービスの重複の実態と問題について、ソウル広域市及び釜山広域市における特に生活保護世帯が集中している地域におけるセンターに焦点をあてて調査を実施する。 地域社会連携・地域実践に取り組んでいる主導的・先進的児童館等への訪問・インタビュー調査: 韓国における地域児童センターでの取り組みの紹介をしつつ、子どもの貧困対策に関する事例検討を実施する。 以上のような調査結果から明らかになったことを国内外にメディア、雑誌等を用いて発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、韓国の地域児童センターにおける会食サービスを①生活支援、②教育支援、③文化支援、④ケースマネジメント支援の各種プログラムとの関連性のもと、児童に与える影響について、効果・要因・課題等を包括的・実証的に明らかにする予定であったが、質問紙調査とインタビュー調査の項目設定にあたり、翻訳も含めて、再調整が必要となった。 また、会食サービスニーズの高いセンター/児童館等の利用児童に対し、官能評価を実施し、おいしさと食べやすさの視点から食支援の改善を検討する点については、検査及び評価方法の手順について、食文化の相違点もかんがみ、再設定が必要となった。 以上のことから、質問紙調査の実施が滞っており、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査とインタビュー調査の項目の再設定及び翻訳を円滑に進め、韓国及び日本での調査を実施する予定である。また、今年度に明らかになった韓国の地域児童センターの現状に関する研究結果については、国内外に発信するための媒体を作成する計画である。
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備考 |
地域児童センターのDVD、リーフレットを制作した。また、研究対象である地域児童センターについて、SBSテレビによる取材を受け、放映された(2017年3月)。また、『かんたん食事レシピ』(武庫川女子大学栄養科学研究所、2017年3月)を発行した。今後の地域児童センターの会食サービス・プログラムに活用する予定である。
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