調査対象地であるA県の児童養護施設6か所、乳児院2か所の里親支援担当職員等(調査時は里親支援専門相談員未配置の施設有)の協力を得て実施したインタビュー調査の結果を分析し、乳児院と児童養護施設における里親担当職員 による里親支援の特徴を、児童相談所の里親担当職員、施設の里親担当職員、里親という三者の関係性に注目して明らかにした。その結果、A県の里親支援には、①施設と児童相談所の里親担当職員の役割分担と連携、②乳児院と児童養護施設の里親担当職員の役割分担と連携、③里親担当職員と里親の役割分担と連携、という3つの特徴があることが明らかになった。 またそれぞれの特徴が有する意味について考察を3点おこなった。①同行訪問における、施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の役割分担と連携には、里親委託児の権利をモニタリングしているという意味がある。②担当者間の引き継ぎにおける、乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員の役割分担と連携には、それぞれの施設で蓄積されてきた経験に基づく、具体的かつ実践的な情報提供や援助をおこなっているという意味がある。③社会的養護児童の養育パートナーとして里親を位置づけるという、里親担当職員と里親の役割分担と連携には、委託児の養育は家庭の私的な養育ではなく、家庭で養育をおこなう形態の社会的養護であるという意識を里親に醸成しているという意味がある。 上記の結果については、2018年8月にA県福祉総合相談センター(県中央児相)において、県内の児相里親担当職員、乳児院・児童養護施設の里親支援専門相談員、里親会役員等の参加を得て調査報告会を実施し、県の特色を生かした今後の里親開拓や里親支援の方向性(たとえば、里親ホームスタート事業や里親ファミリーサポートセンター事業)について具体的な提案をおこなうことができた。
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