研究課題/領域番号 |
16K04235
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
倉持 史朗 天理大学, 人間学部, 准教授 (70411056)
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研究分担者 |
今井 小の実 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20331770)
蜂谷 俊隆 美作大学, 生活科学部, 准教授 (50351705)
元村 智明 金城大学, 社会福祉学部, 准教授 (60340022)
室田 保夫 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (90131614)
高岡 裕之 関西学院大学, 文学部, 教授 (90305491)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 博愛社 / 社会福祉学 / 児童福祉 / 聖公会 / 小橋実之助 / 林歌子 |
研究実績の概要 |
本研究は、創立以来130年にわたって児童保護・福祉事業をはじめとする総合的福祉活動を行ってきた博愛社が所蔵する貴重資料の整理・保存作業を行う。さらには、それらの資料を用いて博愛社の活動および大阪地域の福祉状況の分析を行うものである。本研究を通じて一施設の福祉活動のみならず大阪地域、ひいては戦前日本の福祉状況を解明することを試みるものである。 それらの研究課題を達成するため、1、資料整理と保存作業(デジタルデータ化)を実施し、所蔵資料目録のアップデートを図る。2、博愛社関係人物による手書きの日誌や書柬、施設の業務記録の解読と翻刻作業を行う。3、年数回のG研究会を開催し、研究分担者・協力者がそれぞれのテーマに則し、整理した資料を用いて多角的な研究を進めるという課題を挙げた。 1については、平成29年8月・12月に集中的な作業を実施し、デジタルデータ化作業とともに資料の保存状態の確認・メンテナンス作業を行った。デジタルデータ化した資料数は28年度の2倍以上の約7000枚に及び着実な成果をみている。また、2については、担当研究者が日誌などの解読・翻刻作業に取りかかり、一部公表するなど前年度に比して着実に成果がでている。さらに施設の機関誌の目録作成についても『博愛雑誌』の目録が完成し公表する段階である。また『博愛月報』については全体のおよそ3分の1にあたる創刊号から99号までの目録を作成し公表することができた。 3については、平成29年6月、9月、11月に研究会を開催し、研究分担者・協力者による研究報告と議論が活発に行われ、平成30年3月の研究報告書の発行へとつながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度においては、1、28年度と同様に1955年以降の資料の発掘・保存・整理作業が遅れている。また2、1955年以前の資料を分析した研究についても母子・里預け活動など分野によっては遅れがちである。 1については、戦前までの資料のデジタルデータ化作業を優先的にすすめているため、戦後資料の発掘作業に着手できていない。2については、デジタルデータ化作業は迅速に進行しているものの、それらを研究チームで共有化するための作業が追いつかず、アップデートされた資料群を十分に活用できない状況にあることがその原因としてあげられる。 ただし、平成29年度末にはこれまでの研究会報告などを基にして、資料翻刻や研究論文を掲載した研究報告書『大阪「博愛社」創立125年の総合的研究 1』を発行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においては、1、研究会を3~5回開催し、研究分担者を中心に着実な研究成果を積み上げる。また、2、資料保存・整理・デジタルデータ化された資料の共有化・活用するための体制整備を早急に進める。3、施設が長期間にわたって発行した機関誌・業務日誌等の目録を作成、順次公表することにより、研究メンバーのみならず博愛社・児童福祉・歴史研究などに関わる多くの研究者が活用できる体制を整える。4、博愛社に関係する海外渡航調査は30年度に実施する。5、手書き資料の解読・翻刻作業については29年度と同様に、順次公表していき、3と同様に多くの研究者・関係者が活用できる体制を整備する。6、30年度内に研究成果を掲載した報告書を2回発行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究代表ならびに分担者の一部が所属変更ための準備や事後作業などにより、予算執行できない研究課題が生じた。また報告書の印刷・製本にかかる費用が従来の3分の1程度の金額に節約することができた。学外作業者に対しての謝金等の支払い条件が整わず、そのことが学外施設における資料保存・作業等を実施する本研究プロジェクトにとっては大きな蹉跌を踏む要因となったため。
(使用計画)博愛社への資金援助を行った諸団体ならびに,施設出身者が移民し関連施設を建設した米国への海外渡航調査を実施する。デジタルデータの整理と同時に,研究分担者・協力者・施設とのデータの共有化および管理体制を再構築し,研究対象施設での作業ならびに事務処理の効率化を図り,資料解読・翻刻作業の遅延を是正する。
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備考 |
高市勢津子「小橋カツヱ日記(1) 昭和八年一月一日~一二月六日」1、31、『大阪「博愛社」創立125年の総合的研究』1、2018. 倉持史朗「『博愛月報』の記事目録 (1) 創刊 号~99 号〔 1899.6.24 -1909..9.10 〕25、49、『大阪「博愛社」創立125年の総合的研究』1、2018.
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