研究課題/領域番号 |
16K04237
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
岡本 晴美 広島国際大学, 医療福祉学部, 教授 (80331859)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 人材育成 / 小規模グループケア / 研修プログラム / チーミング / リチーミング |
研究実績の概要 |
本研究は、小規模グループケアにおける人材育成として、チーミングの形成をうながす研修プログラムの開発を目的としている。その背景には、あらゆる社会福祉領域における施設規模の小規模化、それにともなう職員集団の小規模化の流れがある。職員集団の小規模化は、いわゆる「一人勤務」の状態をもたらし、短時間での引き継ぎや限られた時間のなかでの方針の共有、職員一人ひとりが状況に応じて現場で主体的に判断し実践することが求められる。しかし、それは容易なことではなく、特に、新任職員や他領域からの入職者の人材育成に困難を抱えていることも報告されている。 そこで本研究では、チーミング(Edmondoson 2012=2014)という考え方を手がかりに、研修プログラム開発を試みた。チーミングとは、「率直に意見を言う」「協働する」「試みる」「省察する」という4つの行動を推奨しながら、協働の可能性がある状況において、時間や場所を選ばずに行動できるスキルと柔軟性、そして、学び続ける意欲と実践に移すための動機づけを人々のなかに涵養する。 本研究では、広島県社会福祉協議会の協力を得て、職場外研修として研修プログラム開発を行い、2016年度、2017年度と2年間にわたって、研修プログラムの提供を行いながら、プログラムの精緻化についての議論を重ねている。研修受講対象者は、多様な社会福祉領域から参加者を募り、研修のなかで、受講者は、いわゆる「にわかチーム」を編成し、チームメンバーの課題解決のために協働する。この体験的な学びを職場での課題解決に連動させるような仕組みを研修プログラムに盛り込み、受講者が、「協働の可能性がある状況において、時間や場所を選ばず行動できる」という実感を得ることで、職場内で実際にチーミングを実践する動機づけにつなげることを意図している。実際に、研修受講者の多くは、職場内でチーミングにもとづく行動を試みたことがうかがわれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、2016年度から開始し、本年度が2年目となる。2年目の大きな課題は、研修プログラム開発であったが、開発を試みた研修プログラムを2016年度、2017年度と2年間にわたって提供できた点では、「おおむね順調に進展している」と考える。 ただし、プログラム内容や提供の方法等については、課題も残されているため、引き続き、プログラムの精緻化、また、研修の効果測定を視野に入れた分析を行っていく必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、引き続き、協力機関である広島県社会福祉協議会との協働を通して、研修プログラムの精緻化を図るとともに、2回の提供を通して得られたアンケート調査の分析を行う予定である。また、次年度は、受講者および受講者が所属する法人・事業所の管理職を対象としたインタビュー調査を実施し、研修での学びが日常業務にどのように反映されているのか、あるいは反映することが困難であるのか等について聞き取りを行い、研修プログラムの修正・見直しを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 2016年度より、研修プログラム開発に必要な情報提供を受けるために、東京で開催されている研修会に参加している。研修参加は終了しているが、プログラムの情報提供を受けるための手続きが完了していない状況にある。その手続きのために、未使用額が生じている。 (使用計画) 次年度使用額が生じた理由でも述べた通り、東京で開催された研修プログラムの詳細な情報提供を受けるための手続きを完了するために、いくつかの条件をクリアしなければならず、そのための費用として使用する予定である。
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