本研究は、「小規模グループケアにおける人材育成:チーミングの形成を促す研修プログラムの開発」をテーマとして取り組んでいるものである。その背景には、社会福祉領域における施設およびケア単位の小規模化の流れがある。その流れにともない、社会福祉現場では、先輩や同僚など他の職員の実践を見聞きすることを通して体験的に学ぶという、現場での接触機会、相互作用の機会の縮小を余儀なくされている。そのため、職場内で人材を育成することに困難を抱えるケースが少なからず生じている。 「チーミング」とは、協働するという「活動」を表す造語であり、「チーミングによって、人々とかかわること、違った考え方に耳を傾けること、一体となって動くこと、判断を共有すること」がミックスされ効果を発揮する。社会福祉実践は、チームワークによって成立する。その際、小規模化の流れにおいては、チームによる協働は、時間と空間を共有することによって成立するといった発想を転換する必要があると考える。時間と空間を共有することに制約があったとしても、チームがチームとして機能することができるようなチームワークづくりが必要である。 上記のようなチームづくりのために、2016年度~2020年度まで、広島県社会福祉協議会との協働により、研修プログラム開発を行い、提供を行った。 2021年度は、上記の取り組み内容を報告書の形でまとめる作業を中心に実施することを計画していたが、コロナ禍の影響により、本業の学内業務に多くの時間を割かなければならない状況となり、研究に着手することが困難な状況であった。2022年度は、コロナ禍の制約が軽減されたこともあり、昨年度作成予定であった報告書を作成することができ、研修対象であった社会福祉施設・事業所および関連機関等へ送付することができた。
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