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2016 年度 実施状況報告書

楽観性と目標達成の関連-目標の追求の仕方に焦点を当てて-

研究課題

研究課題/領域番号 16K04256
研究機関筑波大学

研究代表者

外山 美樹  筑波大学, 人間系, 准教授 (30457668)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード楽観性 / 目標 / 諦め / 認知的柔軟性
研究実績の概要

近年の楽観性に関する研究から,楽観性の高い人はすべての目標に対して積極的に追求しているのではなく,重要な,価値のある目標に対してそうであることが示されている。しかし,われわれは多くの場合において,重要な目標を複数,同時に追求しなくてはいけない。目標が複数ある場合,楽観性の高い人はどのように目標を追求し,達成あるいは諦めたりするのであるのかを解明することが本研究の主要な目的である。
以上の目的を検討するために,本年度はまず,楽観性と諦めの関係について,実験的な検討を行った。具体的には,解決可能課題に加えて,解決不可能課題が混在している課題のパフォーマンスと楽観性の関連を検討した。その結果,楽観性の高い人は低い人に比べて,この課題において高いパフォーマンスを収めることが示された。
この課題において高いパフォーマンスを示すためには,解決不可能課題からいかに速く解放されるかがキーとなる。そこでは,解けない問題を素早く見極め,次の問題へと切り替えることが要求される。本研究の結果より,解決不可能課題に従事していた時間は,楽観性が高い人のほうが低い人よりも有意に短いことが示された。よって,楽観性の高い人は,解決不可能課題にいつまでもとらわれることなく,切り替えて次の問題に進むことができ,その結果,解決可能課題を解くことに時間をかけることで高いパフォーマンスを収める傾向があるのではないかと考えられる。この結果は,楽観性の高い人の認知的柔軟性が優れていることを示唆するものである。
また,自ら立てた目標の達成や実現が困難になった時に,楽観性の高い人はどのような認知や行動をとるのか,予備研究的な調査研究を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,目標が複数ある場合,楽観性の高い人はどのように目標を追求し,達成あるいは諦めたりするのであろうるかを解明することが本研究の主要な目的である。その第一段階としては,本年度は,楽観性と諦めの関係について,実験的な検討を行った。
その結果,楽観性の高い人は,解決不可能課題にいつまでもとらわれることなく諦めることができ,切り替えて次の問題に進むことができることが示された。この点を示すことができたことにおいて,本研究課題の進捗状況を「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

平成28年度に,自ら立てた目標の達成や実現が困難になった時に,楽観性の高い人はどのような認知や行動をとるのかの予備研究的な調査研究を行ったので,その結果に基づいて,今後は実証的な検討を行うこととする。
また,平成28年度に,ある目標が活性化された場合の,楽観性と諦めの関係について実験的な検討を行ったが,今後は,ある目標が活性化され,その目標が達成されないまま別の目標が活性化された時の楽観性が高い人の目標の追求の仕方について検討する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 楽観性が代替的な目標の抑制に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      外山美樹
    • 雑誌名

      教育心理学研究

      巻: 65 ページ: 1-11

    • DOI

      10.5926/jjep.65.1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子ども用楽観・悲観性尺度の作成および信頼性・妥当性の検討2016

    • 著者名/発表者名
      外山美樹
    • 雑誌名

      教育心理学研究

      巻: 64 ページ: 317-326

    • DOI

      http://doi.org/10.5926/jjep.64.317

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 楽観性が代替的な目標の抑制に及ぼす影響2016

    • 著者名/発表者名
      外山美樹
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会
    • 発表場所
      関西大学千里山キャンパス(大阪府吹田市)
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-15
  • [学会発表] Development of Japanese Optimism and Pessimism Scale for Children and examining its reliability.2016

    • 著者名/発表者名
      Toyama, M.
    • 学会等名
      International Congress of Psychology
    • 発表場所
      パシフィコ横浜・横浜国際平和会議場(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-07-24 – 2016-07-29
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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