対人関係における相互作用は、その関係における自己と他者の様々な行動情報を含んでいる。その全体を表象すると考えられているのが関係性スキーマである。スキーマ理論の特徴の一つはスキーマ間の独立性であり、ある関係性スキーマ内の自他の特性情報は他のスキーマ内の自他の特性情報とは独立であると予測される。本研究でその部分的な証拠は得られたが、関係性による特性情報の区分は予想よりも曖昧であった。そのうえ、関係間の変動だけでなく、関係内における自己の特性判断にも一定量の変動があった。人は同じ関係性においても自己に関して異なる判断をする。この変動には自己愛のような個人差要因が影響することまでが明らかになった。
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