研究課題
(1)多くの町内会、特に農山村の町内会で、研究への協力をスムーズに受けることができず、網羅的に様々な種類の町内会を調査するとした、当初の目標の変更を考え直す必要が生じた。調査手法を変更し、市町村の担当者を介して各地の町内会と接する機会を持とうとしたが、コロナウイルスの流行とそれによる自粛により、各地の関係者と実際に会い、会議に参加することに支障が生じた。(2)本年度は以上のように新たな町内会との関係形成は進まなかったが、町内会のあり方や運営そのものではなく、町内会と関連がある方向の違う話題に取り組み成果を得た。それはa)地域の特産物のブランド化(地域ブランドの確立)に関する話題と、b)宗教施設(神社)と町内会との関係の在り方、の二つの話題である。a)に関しては論文2件を発表することができた。地域ブランドは本質的には農協や漁協などの生産者団体の活動とされるが、その背景に「地元に支持される製品・ブランド」という裏付けがあって成立するものである。また発表した論文では、地域ブランドの確立が、地域への人口流入につながるかどうかを検討し、農業についてはおおむね肯定的な効果がある事を報告した。b)に関しては現在論文を作成するとともに、学会での議論に耐える資料を作成して建設的な提案ができるように準備している。実際に協力を得ている町内会で神社にまつわる紛争が発生したことにより、現実的にどのような対処ができるか、町内会内外で対応にあたった現場の人々と検討しているところである。
3: やや遅れている
新たな町内会と協力関係を持つことに困難があり時間がかかっている。また、協力関係を持つために今までとは異なる方法で、広範囲に活動するつもりであったが、コロナウィルス流行のために、人と会うこと、会議に参加することなどが制限され、話を聞くことが調査の中心となる本課題は停滞を余儀なくされている。
課題の終了時期を一年延長していだいたが、現時点で十分な資料を提供して課題を終了できるか不透明である。コロナウイルスの流行が終了しない間は、調査を中止せざるを得ず、ごく限られた方法で研究を進めざるを得ない。現在、協力いただいている各所から、防疫のためいったん離れている状況にある。また、課題を延長していただいて、さらなる議論を学会大会において行う予定であったが、申し込んでいた学会(国際心理学会・日本建築学会)の大会がすべて中止となったため、専門家同士での議論もいったん中断してしまうことが確定している。ウイルスの流行の終息時期に多分に左右される状況にある。
国際的に学会が開催される偶数年(2020年)に、大会発表・議論に参加するため、一年終了期限を延長していただいた。大会参加によってより広く町内会の現状と、地域での役割について議論し、最終的な結果をより豊かなものとする計画であった。また調査について少しでもデータを増やし、より信頼できる結果を提出する狙いがある。その後コロナウイルスの流行によって調査活動が停滞したため、発表や議論のみならず、データの収集も現在遅れている状況にある。2020年度に遅れを取り戻すつもりであるが、疫病の流行の終息が望まれる。
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集団力学
巻: 36 ページ: 3-12
10.11245/jgd.36.3
巻: 36 ページ: 14-22
10.11245/jgd.36.14