研究の目的は、集団間葛藤を引き起こす認知基盤におけるWMCの役割を明らかにすることであった。6つの実証研究により、WMCの欠如が内集団バイアスや外集団成員に対する排斥と結びついていること、死の脅威や感染脅威が顕現化し、自己防衛的な目標が自動的に活性化した場合には、WMC高群が低群よりも外集団に対して否定的態度を形成することが示された。WMCが外集団成員の受容と拒否に関わる情報処理の適否を支えていること、集団間葛藤を解消するためには、個人特性、状況下で顕現化された動機、WMCの3点を踏まえたアプローチを検討する必要性があることが示唆された。
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