研究課題/領域番号 |
16K04269
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
中嶋 励子 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (30572143)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 主観的well-being / 高齢者 / ストレス・コーピング / 構造方程式モデリング |
研究実績の概要 |
今年度は、前年度実施した高齢者を対象としたインタビュー調査の発言内容を、研究補助者との一致度を高めながらコーディングを行った分析から、加齢ストレッサーと適応方略に関する詳細分析を行い、分析結果と今後の課題について、日本健康心理学会大会(2017年9月)において発表を行った。また、これらの結果分析をもとに、質問項目及び仮説モデルの構築のための検討を重ね、次段階である定量調査の計画及び実施の検討を重ねた。 定量調査は、2017年8~9月に、若年層を含めた40~80代の男女を対象者とした郵送調査によって行った。郵送調査の対象者の募集から実施までを、プライバシーマーク取得の市場調査会社に委託し、同社に登録している会員を研究対象者とした。郵送調査の実施に先立ち、2017年7月に「東京女子大学人を対象とする研究に関する倫理審査委員会」に審査を申請し、承認を受け(承認番号A2017-04)、研究対象者の倫理的配慮を十分に考慮して実施した。質問紙は、事前に同意を得た473人(うち無効票3)に発送し、回収数は464であった(回収率98.7%)。郵送回収した質問紙の回答データの入力を行い、単純集計から構造法的式モデリングを含む多変量解析までを行った。主な分析結果として、対象者の加齢につれ、「肯定的解釈」、「回避思考」といった情動・認知関連のストレス・コーピングをとる頻度が増加し、それが主観的well-beingを高めることと関連があることを示した。結果の一部は、日本社会心理学会大会(2017年9月)にて発表を行い、高齢者の心理を研究する研究者等の知見を得た。その後、次年度の研究発表に備え、結果分析に詳細な検討及び構築したモデルに修正を加えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度実施を予定していた定量調査の計画・準備及び調査の実施、結果入力、及び主要分析については、予定通り進んでおり、仮説として構築したモデルの一部の検証までは行っている。 一方、定量調査の実施にあたり、高齢者の研究対象者の抽出を可能な限り偏りのないものにするために抽出の範囲を広げる必要が生じ、このための追加費用が生じることとなった。これに伴い、データ入力、分析補助の費用を調整する必要が生じ、研究代表者自身がデータ入力、分析全般を行うこととなり、研究代表者が詳細分析のための時間を十分にとることができなかったことが研究進捗状況の遅れの理由である。また、仮説モデルについて、変数同士の関連が一部有意となるなど、当初の検討課題より多くの課題が生じていることも、やや遅れている理由となっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず、定量調査結果の詳細分析を進める。具体的には、多変量解析を含む分析を行い、今年度構築したモデルの検証を重ねていくとともに、対象者の属性別のモデルの検証を行っていく。さらに、定量調査ですでに回答を得ている日常生活上の一般的なストレスと、人生満足度、ポジティブ・ネガティブ感情等の項目との関連の分析を行い、検討を重ね、学会発表2件(日本健康心理学会(2018年6月)及び日本心理学会(2018年9月))を行うことを予定している。そのうえで、投稿論文にまとめる予定である。また、今年度実施を予定している実験課題場面におけるストレス・コーピング行動の計画準備と実施を進める予定である。実験課題案については、これまでに研究代表者が行った研究課題に修正を加えていく。さらに、3年間に行った研究結果の総合考察を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施した定量調査の実施に関して、委託調査会社と、可能な限り偏りのない高齢者の研究対象者の抽出を行うための検討を重ねた結果、研究対象者の募集対象範囲を予定より広げる必要が生じ、追加費用が発じることとなった。このため、定量調査の追加費用が決定後、今年度購入予定であったパソコン、ハードディスク、統計ソフト等の物品は購入せず、今年度の分析に関しては学内の機材及びソフトを使用することとし、次年度新たに購入を検討することとした。研究補助人員の人件費は、データ入力及び分析補助のための人件費として計上していたが、上述の追加費用が生じたことにより、人件費の調整が必要となり、研究者自身でデータ入力及び分析を行うこととし、次年度の観察実験調査の補助人員の人件費として使用予定としている。
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