最終年度ということで、これまでの成果をまとめ複数の学会発表を行った。海外発表として、1)6月ハンガリーで開催されたヨーロッパ心理学会、2)11月にシンガポールで開催されたウェル・ビーイングに関する国際会議、そして3)2019年2月にポートランドで開催されたSPSPの年次大会で、昨年末に行ったweb介入調査のデータの解析結果をもとにした、ウェル・ビーイング促進に関する報告を行った。1)では、感情的、心理的、活動的、社会的、環境的、文化的という6つのウェル・ビーイングを促進するためのやり方に関する素人理論の自由記述回答を分析し、それぞれのウェル・ビーイングに対応した18の介入技法を抽出するとともに、欧米で行われている介入技法との比較について論議した。2)では、18の介入技法の一つを選択し、2週間介入実践を行った結果について報告した。選択された技法は文化的、感情的なものが多く、社会的・環境的な活動の選択率は低かった。また、そうした介入により、男性より女性、とりわけウェル・ビーイングの低い女性への介入効果(一般的ウェル・ビーイングの上昇)がみられることが示された。3)では、介入の領域(感情的・文化的など)が、該当するウェル・ビーイングの上昇につながるか検討したが、一部を除いて明確な傾向が得られなかったことを報告した。これらの内容は、日本心理学会のシンポジウムや、社会心理学会の発表でも報告した。また介入技法の進展については論文としてまとめた。諸学会での討論では、昨年度調査のもっとも大きな問題点として、参加者の幸福感上昇への動機付けや、それによる調査からのドロップアウト率の高さが指摘された。そこで最終的に、2019年2月末に、介入技法を各領域を代表する5つに絞った介入調査を再度施行し、2週間の実践を試みた。その結果参加率は飛躍的に上昇した。結果の詳細は成果報告書をご参照いただきたい。
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