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2019 年度 実施状況報告書

記述的規範の認知的過程に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K04278
研究機関奈良大学

研究代表者

村上 史朗  奈良大学, 社会学部, 教授 (30397088)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワード記述的規範 / 規範認知 / 社会心理学
研究実績の概要

〇記述的規範の解釈フレームの顕現性について
記述的規範の類似性認知について予備研究を通じて材料を検討したが、個人差が大きく、本調査まで至ることができなかった。このアプローチに取り組みをあきらめ、異なるアプローチでの検討を行うこととした。具体的には、Liberman,Samuels, & Ross (2004) で検討されていた、囚人のジレンマゲームにおける「ゲーム名」の効果を援用する形式の実験的な手法(条件設定を行う)による調査研究の予備研究を行った。具体的には、Libermanらの研究の概念的追試を行い、日本においても「ゲーム名」の効果が見られるかを確認した。結果は、Libermanらと同様の効果は見られた一方、効果の大きさは統計的に有意ではあるものの小さかった。この結果を参考に、記述的規範認知のフレームの操作方法を検討した。

〇記述的規範認知の自動性について
認知的負荷を操作する手法によって、記述的規範認知の自動性に関する実験的研究の予備研究を行った。記述的規範認知は行為の適切さの基準を提供すると考えられるが、これは常に意識されている統制的なプロセスだけではなく、自動的に機能する部分があると考えられる。認知的負荷の低い、統制的なプロセスが働きうる場面では、記述的規範認知だけではなく価値観や態度など、様々な要因を参照するため、記述的規範認知の効果は相対的に低いと考えられる。一方、認知的負荷が高いなど、自動的な認知過程の効果が強く出る状況では、記述的規範認知の行動や判断への効果は相対的に強くなると考えられる。この研究について、具体的な規範の選定を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していた、記述的規範の解釈フレームの顕現性に関する調査について、その題材として取り上げる規範を予備研究を通じて検討したものの、想定していた関連性が見られなかったため、題材の検討に時間を要した。複数回の予備研究によって、本調査で検討する規範にある程度の目処が立ったため、補助事業期間を延長し、翌年度前半に調査を実施することとしたい。

今後の研究の推進方策

研究計画の概要に記した通り、当初計画から予定を変更した調査を行う。具体的には、複数フレームで解釈可能な規範的行為について、それぞれのフレームをプライミングする先行課題を条件ごとに設定し、その後にターゲットとなる規範的行為について質問を行う構成とする。先行課題のフレームによって、同一の行為に対する記述的規範認知の水準が異なることを予測する。
これとは別に、新型コロナウイルス感染抑制のための外出自粛行動を題材として、記述的規範認知の効果を検証する調査を実施する。外出自粛行動はこれまでの一般的な行動規範とは異なるため、記述的規範認知は実態よりも低く見積もられると予測する(実際に人々が行っている外出自粛の割合よりも低く認知されると予測)。
また、記述的規範認知の自動性を検証する実験的研究も行う。記述的規範認知が行動選択に及ぼす影響はヒューリスティック的であると仮定し、高認知負荷時にその影響がより大きくなるとの予測を検証する。認知的負荷が低い場合には熟慮過程が働くため、記述的規範認知と行動選択の関連は比較的弱いだろう。一方、認知的負荷が高い場合にはヒューリスティックとして「周囲の行動傾向の推測」としての記述的規範認知が用いられやすいため、記述的規範認知と行動選択の関連は強くなると予測する。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 「現在までの進捗状況」に記載した通り、今年度調査計画の変更に伴い、調査が翌年度にずれ込んだため、調査費用を執行できなかったことが主な要因である。
(使用計画)上述の調査計画に加え、新型コロナウイルス関連の新たな調査、および予備研究を通じて計画が確定した実験実施に用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 顕在的・潜在的自尊心の不一致と集団主義傾向の関連2019

    • 著者名/発表者名
      村上史朗
    • 学会等名
      日本社会心理学会

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公開日: 2021-01-27  

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