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2021 年度 実施状況報告書

記述的規範の認知的過程に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K04278
研究機関奈良大学

研究代表者

村上 史朗  奈良大学, 社会学部, 教授 (30397088)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2023-03-31
キーワード記述的規範 / 規範認知 / 社会心理学
研究実績の概要

新型コロナウイルス感染予防行動を題材として、健康を意識させるプライミングと経済活動を意識させるプライミングによって記述的規範認知が影響を受けると予測した質問紙調査を計画した。具体的には、健康を意識させるプライミングをした場合に、経済活動を意識させるプライミングをした場合よりも、一般的な他者の感染予防行動の遵守率が高くなることを予測した。
しかし、予備調査を実施した段階で、感染予防行動の遵守率に関する認知が安定的であり、実験操作の影響を受けないことが判明した。これは、コロナに対処しながらの生活が長期間続いているため、周囲の他者の遵守行動について安定した信念が形成されたためであると考えられる。
新型コロナウイルス感染予防のような、人々が慢性的に注意を向けている対象については、直近の外的手がかりによって記述的規範が変化するという本研究で検証しようとしているプロセスを検討するには不向きである可能性が示された。そのため、題材を「常に意識しているわけではない規範的行為」に変更した調査案を計画している。
また、並行して文化的価値観に関する記述的認知(共有信念)が新型コロナウイルス感染予防行動意図に及ぼす影響について調査研究を行った。周囲の他者が相互協調的な共有信念を持っていると認知(記述的規範認知)している場合、「周囲の他者を安心させる」「周囲の他者に批判されることを避ける」という意味で感染予防行動意図が高まると予測した。
一般サンプル480名を対象に、感染予防行動については場面想定法で尋ねるオンライン調査を実施した結果、仮説とは異なり、相互協調的な共有信念と感染予防行動意図の間に有意な関連は見られなかった。全体的に感染予防行動意図は非常に高く、周囲の他者の信念の認知に関わらずデフォルトの行動選択になっていた可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度は調査研究と実験研究の2つを計画していたが、調査研究については「研究計画の概要」に示した通り予備調査段階で題材の変更が必要となったため、計画を修正することとなった。
一方、実験研究については認知負荷を高める実験操作を伴う実験室実験を計画していたが、新型コロナの影響で対面状況で行う実験室実験が実施できなかったため延期した。

今後の研究の推進方策

調査研究については、予備調査結果を踏まえて題材を再検討した上で実施する。
実験研究については、次年度も対面状況での実施ができない可能性もある。その場合は、実験状況のコントロールは一部損なうことになるが、オンラインでの実験実施も視野に入れている。具体的には、Millisecond Software社の心理実験用ソフトウェアInquisitのweb editionを使用することを想定している。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 「現在までの進捗状況」に記載した通り、調査計画の変更が生じたこと、対面状況での実験が実施できず延期したことが主たる理由である。
またオンライン授業と対面授業の並行等の負担増大によって研究時間が十分に確保できなかったことから、当初計画研究の一部が翌年度にずれ込んだため、調査・実験費用を執行できなかった。
(使用計画)主たる用途は、オンライン調査の実施費用と実験費用を予定している。実験については、対面実験が実施可能な場合は参加者謝金に、オンライン実験の場合にはオンライン実験用のソフト購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 文化的自己観の共有信念と感染予防行動意図の関連の検討2021

    • 著者名/発表者名
      村上史朗
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会

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公開日: 2022-12-28  

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