研究課題/領域番号 |
16K04284
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
藤井 義久 岩手大学, 教育学部, 教授 (60305258)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | いじめ認知 / 国際比較調査 / 精神的苦痛度 / 関係性攻撃 / 言語性攻撃 / 物的攻撃 / 身体的攻撃 |
研究実績の概要 |
日本の児童生徒(小4~中3)計399名(男子204名、女子195名)、フィンランドの児童生徒(小4~中3)計355名(男子156名、女子189名)、あわせて744名(男子360名、女子384名)に対して、いじめ認知に関する国際比較調査を実施した。国際比較調査実施に当たっては、本研究代表者である藤井(2020)が作成した、「いじめ」と疑われる45個の場面に関する項目を用い、それぞれの場面ごとに2つの質問を行った。まず、精神的苦痛度を問う質問では、「あなたは、次のような時、辛い気持ちになりますか」と教示し、5件法で回答を求めた。また、経験を問う質問では、「あなたは、過去1か月以内に次のような出来事を経験しましたか」と教示して、2件法で回答を求めた。なお、フィンランドの児童生徒を対象に実施する質問紙については、ネイティヴ・スピーカーであり、かつ高度な日本語話者でもあるフィンランド人が、翻訳によって項目の意味が変化することのないよう注意しながら、日本語の質問紙をフィンランド語に翻訳した。 まず、精神的苦痛度得点を用いて因子分析(主因子法,promax回転)を行った結果、最終的に「関係性攻撃」、「言語性攻撃」、「物的攻撃」、「身体的攻撃」という4つの下位尺度、計32項目から成る「国際版いじめ認知尺度」を開発した。なお、児童生徒にとって精神的苦痛度が最も高い場面は、日本においては「クラスで仲間外れにされた場面」であるのに対し、フィンランドにおいては「友達に悪口を言われた場面」といったように、国によって「いじめ」に対する感じ方は大きく異なることがわかった。また、経験率が20%以上の「いじめ場面」が日本ではわずか3場面であったのに対し、フィンランドでは25場面もあったことから、フィンランドの児童生徒の方がより「いじめ」を受けていると感じている可能性が高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
日本とフィンランドの児童生徒を対象とした国際比較調査実施段階において、新型コロナウイルス感染が世界的に拡大し、調査実施上、困難を極めた。しかしながら、幸いにも、フィンランドにおいては、まだ学校が新型コロナウイルス感染拡大による休校措置が取られていない時期に調査をお願いしていたこともあり、調査用紙自体は現地において当初予定した配布枚数の8割程度回収できていた。そこで、現地と連絡を取りながら、すでに実施回収された調査用紙について日本に送っていただくよう再三お願いしたが、現地が新型コロナウイルス感染拡大対応によって混乱していたこと、それにより郵便事情も極めて悪化したことにより、当初の計画よりかなり遅れて回答済みのフィンランド調査用紙が日本に到着した。その結果、フィンランド調査におけるデータ分析、結果の整理が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、当初の研究計画より遅れております国際比較調査に関するデータ分析、結果の整理を早急に行い、本研究成果についてまとめたいと考えている。具体的には、「国際版いじめ認知尺度」の信頼性、妥当性の検討を行うことを通して、国際標準化を行う。そして、その尺度を用いて、精神的苦痛度(質)と経験(量)の両面から、現在の「いじめ深刻度」を多面的に測定・評価できる客観的基準の開発を目指す。あわせて、「国際版いじめ防止能力尺度」を開発し、「国際版いじめ認知尺度」との関連性について分析することを通して、いじめ防止能力を育成するために、今後どのような手立てが必要か、明らかにしていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴って国際比較調査に関するデータ分析が遅れていることによるものである。従って、次年度においては、遅れております国際比較調査に係るデータ分析を進めていくために、データ分析を行っていくために必要な物品(ソフト等)を中心に購入を予定している。あわせて、本研究成果を広く内外に発信するために学会発表や学術論文投稿も予定しているため、そのために必要となる学会発表費や論文投稿費の支出も予定している。
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