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2021 年度 実施状況報告書

「いじめ」の認知とその防止に関する総合的研究-「いじめ防止能力」の育成に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 16K04284
研究機関岩手大学

研究代表者

藤井 義久  岩手大学, 教育学部, 教授 (60305258)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2023-03-31
キーワードいじめ対処行動 / 観衆的態度 / 傍観者的態度 / 援助要請行動
研究実績の概要

今年度は、「児童版いじめ対処行動尺度」を開発することを通して,児童がいじめ目撃場面においてどのような対処行動を取っているか、その実態について明らかにするとともに、そうした「いじめ対処行動」が個の性格や学級適応感によってどのように異なるか検討した。調査対象は、小学4~6年生520名(男子276名、女子244名)であった。まず、項目分析および因子分析によって,最終的に「問題解決行動」、「援助要請行動」、「観衆的行動」,「傍観者的行動」という4つの下位尺度、計26項目から成る「児童版いじめ対処行動尺度」を開発した。そして、この尺度を用いて、いじめ対処行動と個の性格との関連性について重回帰分析によって検討したところ、特に責任感が強く、物事に積極的に取り組もうという「統制性」傾向の高い児童ほど、いじめ目撃場面において「問題解決行動」や「援助要請行動」といった望ましい対処行動を取りやすいことが明らかになった。一方、いじめ対処行動と学級適応感との関連性においては、特に学級において教師や友人から信頼されたり受容されたりする感覚である被信頼・受容感が高い児童ほど、いじめ目撃場面において「問題解決行動」を取りやすく、学級において充実感が高い児童ほど「援助要請行動」を取りやすいことが明らかになった。
今後は、本研究成果に基づいて「いじめ防止能力尺度」を開発し、児童生徒のいじめ防止能力の現状について国際的な視点から明らかにしていきたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて、我が国の学校だけでなく、国際調査対象校のある北欧諸国においても同様に長期休校が発生し、しかも現地とコンタクトを取りながら国際調査実施を行うことが難しい状態が長期間にわたって続いた。そのため、当初、予定していた国際調査実施時期が大幅に遅れることになり、それに伴って、国際調査結果分析も大幅に遅れることになった。そのため、当初の研究計画に比べて大幅に遅れている状況であるが、当初の研究目的を達成すべく、現在、早急に国際調査結果分析に着手している状況である。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって大幅に遅れていた国際調査もすべて無事に終了し、現在、調査結果の分析、整理を行っているところである。今後は、まず、国際調査データに基づき、「国際版いじめ認知能力尺度」および「国際版いじめ防止能力尺度」を開発し、その信頼性および妥当性について検討するとともに、「いじめ認知」と「いじめ防止能力」の国際比較を行う。次に、「いじめ認知」と「いじめ防止能力」の発達的変化について国による違いも含めて明らかにする。最後に、「いじめ防止能力」のうち特にどういった能力が「いじめ」の未然防止につながるのか、その能力は性別や学年あるいは国によって異なるのかも含めて明らかにしていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の世界的拡大を受けて国際調査実施が大幅に遅れたことに伴って、国際調査の詳細な結果分析が次年度に繰り越しとなったために次年度使用額が生じた。従って、次年度は、この繰り越しになった使用額を用いて、国際調査データ分析において必要となる物品を購入するともに、学会での研究成果発表を行いたいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 児童のいじめ対処行動に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      藤井義久
    • 雑誌名

      岩手大学教育学研究科研究年報

      巻: 6 ページ: 261-269

    • オープンアクセス
  • [学会発表] いじめ認知に関する国際比較研究ー日本とフィンランドの児童生徒を対象にして2021

    • 著者名/発表者名
      藤井義久
    • 学会等名
      日本心理学会第85回大会

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公開日: 2022-12-28  

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