研究課題/領域番号 |
16K04286
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川崎 聡大 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (00444654)
|
研究分担者 |
片桐 正敏 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00549503)
若宮 英司 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (20426654)
本郷 一夫 東北大学, 教育学研究科, 教授 (30173652)
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
安藤 明伸 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60344743)
加藤 哲則 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (90510199)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 読み正確性 / 学習困難 / 視覚情報処理 / 言語発達 |
研究実績の概要 |
本研究では小学校入学後に生じる学習面をはじめ様々な課題や傾向を就学前につかむことを目的としている。今回、年中・年長児童のひらがな一文字を読む力(正確性)と「見る力」(図形弁別力)、「描く力」(図形構成力)に関する横断調査を行った。語彙と統語面に関する発達を調査し、特に統語発達過程の経年的変化(時代の変化)や語彙力との関連、ならびに社会性発達と言語面の関連について検討を加えた。また、微細運動に関する質問紙調査を実施した。 対象はA県在住の就学前児童(年中・年長)79名である。 主に使用した課題は次の通りである。社会性発達チェックリスト(本郷ら:2015)、改定絵画語彙テスト(語彙)、S-S法(統語課題)、ひらがな読み課題として音読流暢性課題から選択した。また「見る力」「描く力」は連携協力者である奥村智人(大阪医科大学LD)開発のWAVESアプリケーション版を幼児用に改変して用いた。 本年度の結果から、①就学前の段階のひらがな読みは直音の正答率は年長児童で70%を超え、ひらがな読みを従属変数として実施した共分散構造分析では音読正答数(正確性)に対して統語課題(語順)と図形構成課題の成績が音読正確性に直接影響し、図形弁別力課題が図形構成課題を介して間接的に影響を及ぼすパスを想定した場合にもっとも適合度が高い結果となった(GFI=.988, AGFI=.882, RMSEA=.070, χ2(1)=1.25, n.s.)。社会性発達と言語発達の関連、ならびに運動面と文字の関連については検討を行っている段階である。今回の結果から就学前の読み正確性の獲得に視覚情報処理が一定の寄与を示すことが明らかとなった。29年度は追跡調査を行うとともに、新たな集団に対しても検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は2箇所での調査で擬似縦断を計画していたが、予算の関係上、時期をずらした2年間の縦断研究とした。当初予定していたソフトウェアの開発も不要となり概ね順調に推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度あらたに別都道府県で調査を開始し、現在実施している調査箇所では1年後の縦断データの聴取を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査箇所が遠隔地中心となったために旅費が当初計画より増えた。29年度は調査中心であり、解析にかかる費用や雑費は比較的軽微にとどまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
29年度は、調査箇所の追加、解析にかかる費用が増加すると思われるため、そちらに充当する。また28年度の研究成果を国際学会(ユトレヒト)で発表する予定であり、そこに使用する。
|