授業の心理学的研究においては、授業者が行った教授活動を独立変数とし、学習成果を従属変数とする研究パラダイムが通例であった。しかし本研究により、授業者の教材解釈が授業過程における知識操作の偏りを生み出し、それが学習成果に影響を与える可能性が示唆された。このことは、授業者変数の影響の大きさを物語るものであり、授業者変数を独立に取り出すことが難しい従来の研究パラダイムの変更をせまるものである。授業の心理学的研究における授業者要因の影響力の大きさを認識させたという点や授業者要因を含めた新しい研究パラダイムを提案したという点で、学術的意義がある。
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