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2017 年度 実施状況報告書

性差から紐解く実行機能における障害特性

研究課題

研究課題/領域番号 16K04290
研究機関山形大学

研究代表者

大村 一史  山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (90431634)

研究期間 (年度) 2016-10-21 – 2019-03-31
キーワード実行機能 / 発達障害 / 個人差 / 実験系心理学 / 脳・神経
研究実績の概要

平成29年度前半も、前年度に引き続き、定型発達内の健常大学生(男性5名、女性7名)を対象として、半側視野呈示の情動処理課題を実施した。課題遂行時の課題成績および事象関連電位(event-related potential: ERP)を計測し、実行機能の大脳半球機能差およびその機能差が情動処理に及ぼす影響を検討した。性差と障害特性(衝動性傾向および自閉性傾向)に着目し、情動価を伴った刺激(ここでは表情によりカテゴライズされた顔刺激)の右半球優位の処理過程にどのように反映されるかを顔処理に関係するERP成分とされるN170を対象として明らかにしていくことを目的とした。
当初は順調に実験が進められていたが、8月中旬より脳波計に原因不明の故障が発生し、国内代理店では原因究明が不可能であったため、海外の製造元に依頼し、長期間の修理を行うこととなった。そのため、年度後半はこれまでに取得したデータの解析を集中的に行うこととした。また、衝動性傾向に関して、ADHDにおける性差の先行研究を広く概観し、レビュー論文としてまとめ上げた。
引き続き、生物学的特性としての性差、パーソナリティ特性としての衝動性傾向および自閉性傾向の個人差、および両者の交互作用を明らかにしていくことを予定である。しかし、未だサンプル数が少ないため、N170の潜時と振幅を指標とした顔処理における右半球優位は確認されるものの、性差と障害特性がその優位性をどのように修飾するかに対する回答は見いだせていない。特に、自閉性傾向が高い者は、この右半球優性が消失するとした仮説を支持する結果を得られるまでには至っていない。脳波計の修理完了後、実験を再開し、サンプル数をさらに増やして検討を続けていく必要がある。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

8月中旬より脳波計に原因不明の故障が発生し、国内代理店では原因究明が不可能であったため、海外の製造元に依頼し、精査と修理を行うこととなった。一連の作業は平成30年4月初旬に完了したが、想定よりも長い期間を要してしまい、その間、実験を実施することは不可能であった。データ解析と先行研究のレビュー論文執筆を中心に行ったものの、研究自体の進捗状況はやや遅れていると判断せざるを得ない。

今後の研究の推進方策

脳波計の故障の原因を、海外製造元に精査してもらったところ、脳波計本体の異常ではなく、アクティブ電極セットの内部がねじれによる断線を起こしていることが指摘された。経年劣化と毎回の使用による劣化が断線の原因だと考えられた。そのため、断線したアクティブ電極セットを一時的に補修してもらい、前年度に購入した新しいアクティブ電極セットを交互に使用しながら、研究の遅延リスクを回避するとともに、実験を精力的に行い、サンプル数を増やしていく予定である。また前年度の購入した脳波解析ソフトの習得も進んだため、データ解析の効率を上げて仮説の検証を進めていく。脳波計測の際は、実験者に丁寧にアクティブ電極セットを取り扱うことも徹底する。

次年度使用額が生じた理由

あらかじめ脳波計の故障原因の精査および修理に要する費用を多めに見積もっていたことと、故障により実験被験者に支払う謝金が少なくなったため、今年度の助成金に余剰が生じた。今回かろうじて補強したアクティブ電極セットの1つは寿命によりもはや交換時期にあると考えられるため、次年度に繰り越した余剰分を新規のアクティブ電極セットを購入する費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] ADHDの認知機能における性差2018

    • 著者名/発表者名
      大村一史
    • 雑誌名

      山形大学紀要(教育科学)

      巻: 17(1) ページ: 27-43

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 実行機能の効果的なアセスメントを目指す実験課題の作成2018

    • 著者名/発表者名
      岡崎悟, 大村一史
    • 雑誌名

      山形大学特別支援教育臨床科学研究所紀要

      巻: 5 ページ: 13-18

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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