子どものネガティブ感情への対応尺度(Coping with Children's Negative Emotion Scale)及びその乳児版(Coping with Toddlers' Negative Emotion Scale)を翻訳し、日本語版の信頼性妥当性の検討を行った。内的信頼性、再検査信頼性、基準関連妥当性(併存的妥当性・予測的妥当性)それぞれに良好な結果が得られた。また、アメリカデータとの測定不変性の検討を行い、測定不変性は、部分的に確認された。特に感情表出を促す対応は、日米間での意味合いが違う可能性が示唆された。さらに、本尺度を縦断研究にも加えて親の抑うつや子どもの問題行動との関連を検討した。 妊娠中からの縦断研究を継続し、子どもの6歳、7歳、8歳の誕生日に両親への調査票の郵送・回収を行った(242組)。質問内容は、子どもの学校や家庭における行動傾向、両親の抑うつ、養育行動、夫婦関係、職場の特徴、子どもの行動傾向等であった。 入学前に感じていた不安と入学後に感じている不安についてのKJ法による類型化や経年変化について分析を進めた。母親、父親の抑うつの相互の影響関係や父母の養育態度への影響、子どもの行動へとの関連などについて分析を進めている。 さらに、親の抑うつと子どもの行動の影響関係が、子どもの発達に伴ってどのように変化するか、低出生体重児とその他の児の両親の比較、夫婦関係や職場の要因、ソーシャルサポートが、母親・父親の抑うつを緩和するモデルの検討を行う。家族やそれを囲む環境の親子への影響について検討を進める。
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