研究課題
基盤研究(C)
臨床仮説を実証することを目的とした5年間の研究プロジェクトにおいて5つの研究を行った。その結果、母の出産前の個人要因(複雑性トラウマ関連要因)が授乳時の愛着システム不全に影響を与え、それが幼児期の子どもの感情制御の発達に影響を及ぼすという臨床仮説が、縦断研究により実証された。本研究結果から、授乳時の愛着システム不全の支援が、子の感情制御の発達不全の予防のために重要であることが明らかになった。
臨床心理学
小学校では「年齢相応の感情制御が困難」な子どもたちの増加により、一斉授業での指導上の困難を抱えている。そのような子どもたちは「発達障害」という枠組みでの対応がなされているが、感情制御困難の問題は、親の複雑性トラウマに基づく子育て困難(愛着不全)に由来する。この観点をとりいれることのメリットは、親を支援する意味と可能性をひろげることである。本研究はこの臨床仮説を統計的に実証したものである。この実証データは、感情制御困難を抱える親子を救う視点の有効性を示すという社会的意義をもつものであるといえる。