研究課題/領域番号 |
16K04300
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80282937)
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研究分担者 |
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
竹内 和雄 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10639058)
永井 智 立正大学, 心理学部, 准教授 (20513170)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 被援助志向性 / 援助要請意図 / いじめ被害感 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究は2つにわけられる。①昨年度から研究交流を続けているオーストラリア・キャンベラ大学のデボラ・リックウッド教授を日本に招聘し,研究のアドバイスを得ること,②いじめの援助要請経路について基礎的な調査を行うこと,であった。①リクウッド教授との研究交流については,援助要請行動の測定や理論的な枠組み,また援助要請研究がどのように思春期,青年期のいじめ,自殺予防に役立っているのか,豪州で展開されているヘッドスペースについて多くの情報提供を受けた。更に,今までの援助要請研究の成果を書籍にまとめた。②の援助要請経路についての基礎的な調査は,援助者を特定しない一般的な援助要請意図が,いじめの被害感と関連があるのかについて,小学生(調査1)と中学生(調査2)を対象に調査を行った。調査1は,小学生5年生112名を対象に調査を行い欠損値がない111名のデータを分析した。援助要請意図尺度は西谷・櫻井(2006),永井(2009)を参考にした。承認尺度,被侵害尺度,ソーシャルスキル尺度は河村(1999)及び図書文化社の尺度である。その結果,援助要請意図と被侵害尺度は-.168の相関で有意ではなかった。援助要請意図とかかわりスキル尺度は.357の有意な相関が認められた。中学生303名を対象に調査を行い著しい欠損値が認められない281名を対象に分析した。その結果,援助要請意図は被侵害尺度とは-.063の相関係数であり,有意な関連が認められなかった。かかわりスキル尺度と.339の相関が認められた。以上のように,一般的な援助要請意図はいじめの被侵害感に関連が認めらなかった。関連が認められない理由として,援助者を特定しなかったこと,横断的調査であつたことなどが考えられる。今後は,友人と教師に援助要請の相手を限定して,援助要請経路の測定方法を工夫したい。具体的には児童生徒に相談順位を尋ねる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度,研究交流,図書の出版をしたために質問紙調査が思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は友人,教師に対する援助要請意図について測定する。すでに質問紙は完成し,現在倫理委員会の承認を待っている状態である。また,子どもの援助要請意図を促進するために,特別支援教育分野の教材開発(WEB上のHPやアプリも含む)に定評のあるNPO法人との連携を深めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は援助要請研究の世界的権威であるデボラ・リックウッド教授(キャンベラ大学)から来日の意思があることが示された。リックウッド先生のご勤務の関係で平成28年度3月が良いとのことであった。リックウッド先生招聘のため,費用計算が難しかったことや,そのためにいくつかの研究を平成29年度に廻したためにこのような結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究フィールドを確保するために,三重県桑名市教育委員会,大阪府高槻市,枚方市,八尾市,大阪府大阪市の学校に対して,図書文化社の「より良い学級づくりと友だちづくりのためのアンケート(Hyper Q-U,一人あたり単価440円)を購入し,学校現場で児童生徒を対象に行う。そして,援助要請の経路の質問紙との関連を把握する。
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