研究課題/領域番号 |
16K04300
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80282937)
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研究分担者 |
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
竹内 和雄 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10639058)
永井 智 立正大学, 心理学部, 准教授 (20513170)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | いじめ被害感 / 援助要請 / 学級雰囲気 |
研究実績の概要 |
小学生の援助要請意図がいじめ被害感と関連があるのかどうを縦断的な調査により検討した。279名の小学生5年,6年生について,いじめ被害感,スクールモラール(学習,学級,友人),ソーシャルスキル(かかわりスキル,配慮スキル)が尋ねられた。更に援助要請意図について,2017年6月(time 1),2017年12月 (time 2)に縦断的な調査が実施された。いじめ被害感は因子分析され,顕在性攻撃被害,関係性攻撃被害の2つの因子が抽出された。結果は重回帰分析により検討された。その結果,(1)男女ともにTime1のいじめ被害感がTime2のいじめ被害感を予測した,(2) time 1と time 2の援助要請意図は,いじめ被害感を有意には予測しなかった。しかしながら,女子の関係性攻撃被害については,Time2の援助要請意図がTime2の被侵害感を10%有意傾向ながら予測していた。(3)女子において,学級へのスクールモラールが,顕在性攻撃を予測していた。しかしながら,(4)男女ともに,学習に対するスクールモラールが関係性攻撃と顕在性攻撃を予測していた。以上の結果から,今回の縦断的な調査では,研究者の予測に反して,援助要請意図がいじめの被害感を低下させ可能性が少ないことが明らかになった。この結果は援助要請を高めてもいじめの被害感を抑制できない可能性を示すものである。この結果は昨年度の横断的な調査(水野・永井,2018)とは矛盾する結果であった。矛盾する結果となった要因の一つに測定尺度の違いが考えられる。今回測定した「援助要請意図」に課題がある可能性がある。この点は,再検討する必要がある。しかしながら,学級のスクールモラールがいじめ被害を抑制する可能性が縦断的な調査によって明らかにされた。これは学級の友人関係が長期にわたりいじめの被害に関連がある可能性を示唆すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
援助要請についてのもう一つの調査についての集計を終えられていない。集計を急ぐとともに,いじめを抑制するためのホームページ開設のために進んでいきたい。
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今後の研究の推進方策 |
援助要請についてのもう一つのデータについて研究を進める。また今年度中にはいじめを抑制するためのホームページの開設を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は,予定していた調査対象校に調査を断れる事態が発生した。更に,調査データ入力がいじめの被害状況が含まれていたために,外注せずに研究者自ら入力作業を行ったので,未執行の予算が生じた。平成30年度はホームページで研究成果を公表する予定である。そのための予算執行が見込まれるのでそのための費用としたい。
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