本研究では説明中の身体の動きと説明を通じた学習との関連性について探索的に検討した。大学生を対象として,説明中の頭や手などの動きを測定し,説明内容についての記憶成績との関連性を分析した。全般的には両者の間に明確な関係性は示されなかった。一方で,関係性の強さにはかなりの個人差があることが示唆された。特に強い関連性を示した実験参加者について説明の内容などを視点に加えて分析を行った結果,説明中にいいよどみが生じている場面では,頭部の動きが抑制されるといった様子が見られ,体が動くことよりも,むしろ動かないことが,説明者の自己省察的な思考を反映している可能性が示唆された。
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