研究課題/領域番号 |
16K04306
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
道田 泰司 琉球大学, 教育学研究科, 教授 (40209797)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 批判的思考 / 思考力育成の基盤 |
研究実績の概要 |
基礎研究としては,以下の研究を行った。(1)批判的思考概念と叡智概念との対応を検討するとともに,批判的思考教育が学校教育でどのように行われうるのかについて検討し,スキル系,評価・判断系,練り直し系,複数視点系,質問生成系,基準検討系の6観点が見いだされた。(2)その6観点が実際の実践での活用状況を検討した結果,複数の観点を組み合わせるか,かなり工夫した形で特定の観点が用いられていた。(3)思考力育成教育の基盤にあるものを検討した結果,随所に考える場をつくること,学習観や能力観に関する考え方を伝え,変容を促すこと,安心感や自信を高めるための関わりを行うことの3点が重要であることが明らかにされた。 教科実践としては,以下の研究を行った。(1)中学校英語で,論理的側面を育成するためのOREO wrintingを単元の最初と最後に課した結果,論理的な表現が可能になることが示唆された。(2)中学校体育(球技)において,生徒が課題発見・解決を行う単元を構想し実践した結果,この実践が,技能向上,団結力向上,課題発見と解決,成長に影響したと生徒が捉えていることが明らかとなった。(3)中学校理科の協調学習実践において,生徒の問いについて分析した結果,生徒は反省的な問いよりも合理的な問いを多く持つことが明らかにされた。(4)中学校理科で,電池の改良案を考えて作成するという実践をとおして,生徒の批判的思考が確認でき,生徒は試行錯誤を通して合理的に試行していることが示された。(5)中学校家庭科で協働場面を通して批判的思考を促す実践を行った結果,グループの中で消費行動の効果や影響について深く掘り下げて考えていたり,意見や考えを多面的に吟味・検討していたが,思考の深まりにはグループにより違いがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,4教科における授業実践を学会発表もしくは論文化した。また授業実践の前提となる事柄について,3つの観点から検討を行い,論文化し,思考力育成の基盤となる部分の重要性が明らかとなったため,概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
思考力育成の基盤として,教員の成長や変容に焦点を当てて検討を行う。また,琉球大学教育学部附属中学校における3年間の思考力に焦点を当てた研究を整理する。またいくつかの教科について,実践を分析し,成果を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していたミーティングレコーダが製造中止であったため購入ができず,残額が生じた。
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