子育て期の女性における自己と他者の調整

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K04309
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 平井 美佳 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 准教授 (60432043)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 自己と他者の調整 / 子育て期 / 女性 / ワークライフバランス / 仕事家庭間葛藤

研究実績の概要

本研究は，子育て期の女性の「自己と他者の調整」について，面接法と日誌法を組み合わせて短期縦断的に検討することを目的とした。「自己と他者の調整」（平井，2000，2006，2017）とは，「個としての独立性」と「重要な他者との関係性」という人間にとって共に重要な2つの側面のバランスを，状況に応じて取ることと定義される。本研究では，子育て期の女性がさまざまな他者とどのような調整を行い，また，それを通して自らのアイデンティティをどのように構築また再構築していくのかについて明らかにすることをねらいとした。
前年度における理論的検討および予備調査に基づく検討から，多様な要因を統制するために，調査協力者は子育て中の女性の中でも年齢は30代後半から40代，短期大学卒業以上，子どもは1人または2人で，末子が4歳以上かつ長子が中学生以下に限定した。専業主婦業の者と就労している者，また，就労している者のうち就労を継続してきた者と一時中断して再開した者とが一定数含まれるよう募集において配慮した。
調査内容は，事前の質問紙調査，現在の生活に至るまでのライフストーリーを聴取する第1回の面接調査，2ヵ月後に1週間の日常に実際に起った調整について記録するWebを利用した日誌法，Web調査の内容の詳細を振り返って確認する第2回の面接調査，そして，さらに2ヵ月後にWebによる日誌法を再度1週間実施してもらった後で，第3回の面接調査を行うこととした。調査全体で半年以上を要する。
本年度は本調査を実施し，現在までに32名の協力を得た。サンプル数は十分であると考えられたことから一旦募集は停止している。調査は継続中で，一部の協力者は予定していた全調査を終えている。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

調査協力者の募集も調査の実施も順調に進み，実績の概要の末尾に記した通りの一定数のサンプル数を確保し，調査は継続している。一部の協力者については予定していた調査を終了しており，分析枠組みの検討に入っている段階である。

今後の研究の推進方策

今後は，全体の様子を見ながら，データを整理し，効果的な分析や結果の提示方法について検討していく。具体的には，１．子育て期の女性のライフストーリーを整理および分類する，２．日常的な自己と他者の調整の実際についてその内容を整理し，集計する，３．ライフストーリーと実際の自己と他者の調整との関連について検討する，４．調査の過程に生じた変化について検討する，という4つの観点から結果の整理を行うことを計画している。
また，今年度は，結果を検討する中で，不足している属性の協力者があると判断した場合にはをらに募集してサンプルを追加する。さらに，半年後の追跡調査を行うかについても検討中で，第3回目の面接調査を終えた協力者にはその可能性について事前に説明してある。

次年度使用額が生じた理由

PCの購入を検討していたが，来年度に見送ったため。