研究課題/領域番号 |
16K04310
|
研究機関 | 共愛学園前橋国際大学 |
研究代表者 |
OH SUN AH 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 教授 (90363308)
|
研究分担者 |
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00188038)
榊原 知美 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20435275)
田島 充士 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30515630)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 対話的異文化理解 / 大学間交流授業 / 教育方法 / 教材開発 / 理論構築 / 日韓 / 日中 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、(1)日中韓の大学の間で、各授業実践担当者間で計2回(2巡)の対話的異文化理解教育実践を行い、(2)その結果をもとに効果的な教育方法の開発と教材化を行う、(3)参加者の対話的異文化理解の過程について詳細に分析を行い、理論的な面から考察を加え、新たな文化理論の提案を行うことを目的としている。平成28年度には、授業実践、教材開発、理論的検討の全ての面において進展があった。 (1)1巡目授業実践の計画策定と実施、および分析と理論的検討:崔(韓国:研究協力者)と呉(日本:代表者)、片(中国:研究協力者)と榊原(日本:分担者)の間で大学の授業として1回目の交流実践を行った。日韓の実践では、書簡往復形式での交流、授業内外でのSNSアプリを用いたやや直接的な交流、直接対面方式での交流を組み合わせて実施し多様な方式での分析と比較も行った。また日中の実践では、与えられた材料ではなく学生たちが題材に沿った物語を自ら作成して議論するという方法を用い、方法上の洗練を図った。 (2)効果的な教育方法の開発:平成28年度は2回の全体会議を行い(7月横浜、2月北京)、教材の開発に向けてこれまでの実践の整理と平成29年度以降に実施する教材開発の方向性についての打合せを行った。 (3)これまでの異文化理解授業実践の振り返りと理論的検討:1巡目の授業実践の結果と本研究課題以前の授業実践の結果について、隔月で行っている研究会および会議(7月横浜、2月北京)の場で振り返りを行い、同時に学会(発達心理学会、International Congress of Psychology)のシンポジウムおよび海外の雑誌(Integrative Psychological and Behavioral Science)において、本研究参加者による授業実践と理論的検討をまとめた特集号が企画され、その執筆作業を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度については、当初の予定通り2回の全体会議を行い、研究課題の進め方について議論したうえで実施できたとともに、1巡目の授業実践についても予定通りに実施することができた。また、これまでの授業実践を踏まえた理論的側面での検討については当初の予定以上の成果があがっており、予め計画していた2度の学術会議におけるシンポジウムでの討論(発達心理学会第27回大会自主シンポジウム「プロセスから考える異文化理解―異文化理解の実践と理論をつなぐ」:4月29日北海道大学、31st International Congress of Psychology(ICP)Symposium "How can we understand and study culture? New methodologies of dialogical research for mutual understanding" : 7月28日横浜)にとどまらず、シンポジウムでの討論を踏まえた《Integrative Psychological and Behavioral Science》誌上での特集号(51巻3号2017年発行予定)に向けた執筆作業を通じて、"Expanded Meditational Structure (EMS)"についての議論の深化とともに、"Dialogic Vaccine"、"Temporal Relativism"などについての新たな議論も生まれている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度までの成果を踏まえ、平成29年度はさらに異文化理解授業実践を本格的に実施する(2巡目)とともに、会議や研究会を通じて、それらの授業実践の結果について整理と理論化を進める。また、授業実践については、当初予定していた授業実践担当者以外にも担当者を追加し実践の数を増やすことも検討している。また、教材開発については29年度から本格的な作業を行い、平成30年度に成果として上梓することを計画している。さらに、理論化については、平成28年度までに見いだされてきた異文化理解に関連する理論的概念について議論を継続するとともに、新たな授業実践を踏まえてさらに理論的側面での検討を進める予定である。それらの成果についても、学会誌や学会大会において報告を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の一人(榊原)が半年間産休をとることによって、当初予定されていた中国研究会への参加ができなかったので、旅費の部分が残ることになったが、その代わり交流授業のデータ整理が進んでいる。
|
次年度使用額の使用計画 |
未使用の金額は、2017年度に実施される2巡目の日中の交流授業のなかで交換される学生の文書の翻訳費として使われる予定である。
|