研究課題
コミュニケーションの発達は、感覚運動や協調運動、情緒や対人関係の発達と関係していると考えられている。また、発達障害児は不安や怒りの統制の問題や不器用な運動能力が示唆されている。そこで、発達障害者における対人的コミュニケーションと社会的相互作用の障害の基盤を検討するため、自閉スペクトラム症(以下ASD)と注意欠如/多動症(以下ADHD)、定型発達(以下TD)を対象に呼吸と情動、動作姿勢、嗅覚認知能力を評価し、それらの能力と障害の特質、言語的コミュニケーション能力、知的能力の関係を検討している。言語的コミュニケーション能力をJ.COSS日本語理解テストを用いて調査した結果、ASDにおけるコミュニケーションの問題は日本語理解力以外の要因も影響している可能性があると考えられ、コミュニケーション障害と呼吸、情動、動作姿勢の関係を検討する必要性が示唆された。次に、呼吸と情動、動作姿勢、嗅覚認知能力を新版STAI状態‐特性不安検査と、立位、片足立ちなど18項目のバランス能力の評価(Functional Balance Scale)、嗅覚認知レベルの評価(T&Tオルファクトメーター検査)を実施し、実施中の呼吸数と動作姿勢(加速度計)の測定を発達障害群56名、統制群92名に実施した。Functional Balance Scale 18項目の課題において、発達障害群ではソフト板上で片足立ちを10秒間維持することができない者が6名(2~6秒)いたが、そのほかの課題や定型発達群では通過できない項目はなかった。そこで、Functional Balance Scaleの立位、片足立ち、歩行の項目について三次元加速度センサを用いて測定し、現在データを分析し、発達障害が示す動作姿勢の特質を検討中である。
2: おおむね順調に進展している
前年度は研究代表者が所属する大学を異動したため、研究倫理申請や研究実施計画を新たに作成していただために多少の遅れがあったが、研究実施環境が整い、当初の予定どおりに進展している。
発達障害者における対人的コミュニケーション障害と社会的相互作用の障害の基盤を検討するため、ASD とADHDの発達障害者(56名)、ならびに、定型発達者(92名)を対象に呼吸(心拍数・呼吸数)と情動状態(状態‐特性不安)、動作姿勢(Functional Balance Scale)、嗅覚認知レベル(T&Tオルファクトメーター検査)を評価した。現在、年齢と性別を一致させた定型発達と比較し、障害の特質と言語性コミュニケーション能力(知的能力・日本語理解力)、呼吸・情動・動作姿勢・運動能力の関係を分析している。次年度は最終年度にあたるため、これまでの分析結果を学会で発表したり、論文としてまとめる予定である。
最終年度に論文作成のための情報収集や編集に費用が必要なため。本年度の予算を次年度の使用へと変更したため。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)
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