研究課題/領域番号 |
16K04321
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
山本 睦 (夏堀睦) 常葉大学, 保育学部, 准教授 (60434536)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再就職 / 潜在保育士 / キャリア発達 / 資格制度改正 / 保育者 / 就学前教育 / Early Years / インタビュー |
研究実績の概要 |
保育職の再就職に関する阻害要因,あるいは促進要因を明らかにするために,日英それぞれで再就職経験者(保育職・それ以外の職種)及び保育職への再就職志望者のインタビュー調査を実施している。 英国での調査は6月と2月にDevon州で実施,3つのNursery, 1つの小学校併設のNursery Classの協力を得て,管理職3名,再就職経験者2名のインタビュー調査を実施した。また2つの保育者養成コースを持つ大学(South Devon College, University of St.Mark & St.John) の協力を得て,教員2名,資格取得のために在学している再就職志望者4名のインタビューを実施した。国内調査は,2市の協力を得て公立園の再就職経験者13名,保育職以外の再就職経験者5名のインタビューを実施した。調査に協力いただけた各施設担当者及び国内2市からは,来年度以降も継続して復職者や在学生の調査協力の了承を得ており,さらにUniversity of St.Mark & St.Johnの保育者養成コースでは学生の実習先となっているEarly Years施設での調査を手配してくれることとなった。今後さらに多くの調査協力園及び協力者が確保できる見通しとなった。今年度国内調査で実施した「保育職以外の再就職経験者」への調査も,調査協力者が確保できたため英国で来年度9月に実施することが確定した。 英国での調査準備のために,英国内の保育職資格制度の2014年の改正内容と,その後の保育現場の現状を3つの報告書からレビューし,6月の調査でインタビューしたNurseryの管理職と保育者養成コースの教員の発言内容を報告書の内容と比較分析した紀要論文を執筆した。また5月の日本保育学会自主シンポジウム「保育者の離職及び再就職における経験のプロセス」に話題提供者として登壇することが確定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英国での調査は研究協力者の調査コーディネートにより,保育施設管理職・職員と保育者養成コースを持つ大学の教員及び在学生から11名の調査協力者を得た。特に管理職及び教員とは,調査時に両国の保育者不足の現状と問題点について様々な情報を共有することができ,今後積極的に調査協力をしてくれることとなった。 国内調査は,今年度は保育現場の再就職者のみを対象とする予定であったが,保育職以外の再就職経験者5名の調査も実施できたため,当初予定以上に進展した。 分析及び成果の公表に関しては,研究初年度のため論文,学会発表ともに1本ずつとまだ少ないが,データ収集に関しては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29(2017)年度は,9月に英国Moreton-in-Marshで保育職以外の女性の再就職経験者を対象としたインタビュー調査を実施,10月から12月に国内2市の公立園園長が復職を呼びかけている離職者と,現在非常勤で復職した再就職経験者のインタビュー調査を実施する予定である。また2月には再度渡英し,Devon州での調査を継続する予定となっている。また研究協力者によれば,さらにもう1大学の調査協力が得られる見込みである。平成30(2018)年度も同様に,国内調査と英国での調査を続行するが,平成29年度までの調査実施状況によって,可能であれば再就職志望者のうち再就職を果たした調査協力者の再調査にも取り組みたいと考えている。 平成30(2018)年度に,国内の学会発表に加えて国際学会で成果を発表するので,来年度abstract提出期限までに日英比較分析の内容と分析方法を定め,分析を実施する。分析については質的分析ソフトの使用を考えており,客観性の確保と分析スピードの向上を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査は予定どおり実施したが,2月の渡英調査の際円高の影響で飛行機の往復料金が安かったことで,当初の予定よりも旅費がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成30(2018)年度の国際学会参加費用が2017年度中の支払いとなるので,その費用に充当する。
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