研究実績の概要 |
2019年度は,61名のインタビュー調査(日本再就職保育者;13,日本他業種;5,英国保育者;[再就職保育者(7),管理職(12), 再就職志望者(15), 潜在保育者(3)]37,英国他業種;6)結果を,次の3点から分析した。 1)再就職における「動機づけ」 日本と英国の保育職再就職者と他業種再就職者,そして英国の再就職志望者(無資格者として保育者経験があり,資格取得のため現在大学に在籍)計5グループに分類し,再就職に際し「動機づけ」となった内容についての回答部分を,語と語の共起を抽出するテキストマイニングによりグループ間比較を行った。結果,次の点が抽出された。1.日本の再就職者は,保育者であっても他業種であっても我が「子」の要因が動機づけとして強く機能する。それに対し,英国の保育者が仕事と関連づけて使用する「子」は保育対象としての子どもであることが多い。2,日本の保育職再就職者は,保育の資格に対して矛盾する評価をしている。 2)再就職における「支援」 上記1)と同様の方法で,再就職に際し必要な「支援」についても日英保育者を対象に分析を実施した。結果,日本の場合,保育者にとって再就職動機としてだけでなく,支援においても自身の子どもに焦点化されるということは,「働いている間,自身の子どもを見てくれる誰か」の存在を保障することが,最大の支援となるであろうことは,この節の分析からも推測された。 3)再就職における「障害」 2)と同様保育者の日英比較を行ったが,日本の再就職者はすべて非常勤職員なので1グループとし,英国は管理職,再就職保育者,再就職志望者の3グループに分類し,比較検討した。結果,日本の保育者は就業制度及び体制に関する葛藤・障害を多く抱えていることが示された。 上記を日本版と英語版の報告書にまとめ,1)についての論文は学会誌(応用心理学研究)に採択された。
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