研究課題/領域番号 |
16K04322
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研究機関 | 岡崎女子大学 |
研究代表者 |
小原 倫子 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 教授 (10450032)
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研究分担者 |
小山 里織 県立広島大学, 公私立大学の部局等(三原キャンパス), 准教授 (40458089)
岸本 美紀 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 准教授 (20461915)
石井 僚 奈良教育大学, 学校教育講座, 特任准教授 (50804572)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 情動認知 / 養育者-子ども関係 / ビデオ刺激 / 発達特徴 |
研究実績の概要 |
本研究は、幼児期前期(1歳~3歳)の子どもを持つ養育者による“子どもの情動状態を読み取る能力”と“子どもの発達特徴” はどのように関連するのかというリサーチクエスチョンに対する答えを、日常的文脈の観点から検証とモデル化を行い、養育者の情動認知発達プログラムを開発することを目的とした研究である。 2016年度~2020年度の主な研究活動の1つは、0歳、1歳、2歳、3歳各年齢の、日常的文脈に根ざした、妥当性、信頼性が検証された養育者の情動認知を測定するためのVTR刺激の作成である。作成にあたり、25名(0歳児:5名 1歳児:8名 2歳児:6名 3歳児:6名)の乳幼児の30分間の自由遊び場面を録画し、30秒のVTR刺激を各年齢30クリップ作成した。心理学の専門家による予備調査と同じ年齢の子どもを持つ母親による評定調査の結果から妥当性と信頼性が検証された各年齢6クリップ(ポジティブな情動2、ネガティブな情動2、ニュートラルな情動2)のVTR刺激を選定した。 2つ目の研究活動は、作成されたVTR刺激を用いて、養育者の情動認知の手がかりと子どもの情動状態の解釈について、健常な子どもを持つ養育者と発達障害の子どもを持つ養育者を対象に横断的、縦断的調査を実施した。その結果、発達障がいと診断された、幼児期前期の子どもを持つ養育者は、子どもの情動状態を読み取る際に使用する手がかりが少なく、手がかりの内容も客観的な文脈(乳幼児の表情や発声、行動等)から養育者の主観的表象(育児信念や育児経験等)へと移行する傾向が少ないことが示唆された。 これらの結果から、発達特性が情動の表出に影響を与えやすい発達障がいの子どもを持つ母親は、育児経験の積み重ねによる情動認知のパターンが得られにくいことが示唆された。
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