研究課題/領域番号 |
16K04323
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
土田 宣明 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (40217328)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 加齢 / 認知 / 抑制 / 抑制機能 / 高齢者 / 運動抑制 |
研究実績の概要 |
運動抑制の失敗に注目して,運動コントロールへの加齢効果とその特性を検討した。対象となったのは,若年成人35名と高齢者35名であった。2種類のスイッチを用い,複数の条件のもとで,スイッチを押し分ける(あるいは握り分ける)課題を実施し,分析を行った。 主たる実験の結果は,以下の2点であった。1.高齢者では反応タイプや音刺激が運動抑制の失敗に強く影響していること。2.若年成人は全体的に運動抑制の失敗は少ないものの,視覚刺激からの誘導要因が強く影響していることが分かった。以上のことから,高齢者と若年成人を比較すると,高齢者では運動に結びついた神経システムの興奮を助長するような条件で誤反応率が高くなる可能性が高い。Kubo-Kawai, Kubo & Kawai, (2010)は,Standard Simon taskとGo/no-go Simon taskを比較して,同じSimon taskであるにも関わらず,高齢者では反応頻度が抑制に大きく影響することを明らかにしている。この実験結果を引き起こした要因にも,運動性の神経興奮があったものと推察される。若年成人では,視覚刺激の誘導要因が強く影響していたこととは対照的であった。 さらに,反応スピードとの関連からみると,高齢者では反応スピードが結果的に早くなるような条件で,誤反応率が高まる可能性がでてくる。一般的に加齢に伴い,反応速度は顕著に低下することが知られているが,運動の抑制にとっては,加齢に伴う反応速度の低下は意味があることなのかもしれない。すなわち,運動性の神経興奮の拡大を避けるために,反応速度が全体的に遅くなることには,日常生活適応上の意味があるのかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験については,データ収集が終わり,分析と考察中である。
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今後の研究の推進方策 |
指示されない運動反応を抑えるための手続きの効果を確認し,そこに年代差がみられるかどうかを検討する。実験方法としては,刺激-反応適合性課題(stimulus-response compatibility task)を用いる。1.視覚刺激に誘導される運動は,反対側(誘導されない側)への試行を繰り返すことで,徐々に抑制できるようになるのか。この効果には年代差がみられるのかを検討する。2.場所弁別課題に加え,色弁別課題を負荷することで,視覚刺激に誘導される,衝動的な運動を抑えることができるか。この効果に年代差があるかを検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験協力者への謝金として用意していたが,倫理審査の関係で,新しく企画した実験の実施が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度早々から,実験を予定しており,平成28年度予定した謝金を執行する予定である。
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