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2017 年度 実施状況報告書

運動抑制に影響する要因の年齢差-エラーの原因は若年者と高齢者で異なるのか?-

研究課題

研究課題/領域番号 16K04323
研究機関立命館大学

研究代表者

土田 宣明  立命館大学, 総合心理学部, 教授 (40217328)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード加齢 / 認知 / 抑制 / 抑制機能 / 高齢者 / 運動抑制
研究実績の概要

指示されない運動反応を抑えるための手続きの効果を確認し,そこに年代差がみられるかどうかを検討した。実験方法としては,刺激-反応適合性課題(stimulus-response compatibility task)を用いた。1.視覚刺激に誘導される運動は,反対側(誘導されない側)への試行を繰り返すことで,徐々に抑制できるようになるのか。この効果には年代差がみられるのかを検討した。2.場所弁別課題に加え,色弁別課題を負荷することで,視覚刺激に誘導される,衝動的な運動を抑えることができるか。この効果に年代差があるかを検討した。実験の結果,(1)視覚刺激に誘導される運動は,反対側(誘導されない側)への試行を繰り返すことで,徐々に抑制できるようになった。この効果には年代差がみられなかった。(2) 場所弁別課題に加え,色弁別課題を負荷することで,視覚刺激に誘導される,衝動的な運動を抑えることができた。ただし,この効果は若年成人に限定されたものとなった。この結果から,運動を抑える手続きの効果には,加齢の影響を受けやすいものと,そうでないものが存在することが推察された。この年代差の要因として,視覚経路(visual pathway)と前頭前野との関わりが推察された。2つの視覚経路からの情報は,前頭前野を介して統合される(Sakagami & Tsutsui, 1999)が,この前頭前野は加齢効果を受けやすい部位でもある(Cabeza, McIntosh, Tulving, Nyberg, & Grady, 1997)。場所弁別課題のみを繰り返すことで,運動抑制に結びついたのは’where pathway’経由の反応であり,この手続きに関しては,加齢効果はみられなかった。ところが,前頭前野を介した,’what pathway’経由の反応に関して,加齢の影響が顕著にみられたものと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

具体的に進捗状況を説明する。まず2016年度の段階では,抑制機能の失敗を引き起こす要因を同定すべく,複数の条件のもとで,スイッチを押し分ける(あるいは握り分ける)課題を実施し,分析を行った。実験の結果,①高齢者では反応タイプや音刺激が運動抑制の失敗に強く影響していること。②若年成人は全体的に運動抑制の失敗は少ないものの,視覚刺激からの誘導要因が強く影響していることが分かった。そこで,2017年度は,指示されない運動反応を抑えるための手続きの効果を確認し,そこに年代差がみられるかどうかを検討した。実験の結果,①視覚刺激に誘導される運動は,反対側(誘導されない側)への試行を繰り返すことで,徐々に抑制できるようになること。この効果には年代差がみられないことが確認された。②場所弁別課題に加え,色弁別課題を負荷することで,視覚刺激に誘導される,衝動的な運動を抑えることができること。ただし,この効果は若年成人に限定されることが確認された。以上のように,2017年度までに予定していた実験が終わり,最終年度である2018年度には計画通り,これまで研究成果をまとめる予定である。

今後の研究の推進方策

2018年度は当該研究テーマに基づく申請研究の最終年度に当たるので,ここまでの研究成果をまとめる予定である。2016年度に実施した実験は2017年度の学術雑誌に公刊できたが,2017年度に実施した実験結果に関しても,2018年度中に公刊する予定である。さらにこれまでの実験結果をまとめて「研究成果報告書」として公刊したい。

次年度使用額が生じた理由

年度末に実施された日本発達心理学会に出席したときの旅費の一部に当てる予定であったが,手続き上,次年度送りとなり,繰り越し金が発生したため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Effect of aging on processes of motor inhibition2018

    • 著者名/発表者名
      Tsuchida N. & Kawakami M.
    • 雑誌名

      Japanese Psychological Research

      巻: 60 ページ: 111~118

    • DOI

      10.1111/jpr.12181

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高齢者の抑制機能の特徴 -運動抑制に注目して-(公募型シンポジウム「抑制機能の生涯発達」)2017

    • 著者名/発表者名
      土田宣明
    • 学会等名
      日本心理学会第81回大会
  • [学会発表] Finding the Meaning in Life Program for older adults: The pathway to Wonderful Aging2017

    • 著者名/発表者名
      Kusaka, N.,Narumoto, J., Tsuchida,N. et al.
    • 学会等名
      IAGG 2017 World Congress of Gerontology and Geriatrics
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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