研究課題/領域番号 |
16K04325
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山本 博樹 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (30245188)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高校初年次生 / 構造方略 / 学習方略 / 説明文理解 / 学習適応 / 読解 / 教科理解 / 支援 |
研究実績の概要 |
高校初年次生では,構造方略の未発達のために説明文読解の不振がみられ,学習不適応や教科理解の不振に陥ることが示唆されてきた。本研究は,高校初年次生における構造方略の包括的な支援が適応的説明文読解に及ぼすメカニズムを解明することである。以上の目的を達成する基盤構築のために,平成28年度は,研究1として,高校初年次生の構造方略が説明文読解を媒介して学習適応性や教科理解に及ぼす効果のメカニズムについて,調査法を用いて検証した。 調査では,公立高校初年次生360人 (男168人,女192人) を対象にした。高校初年次生に,構造方略の使用傾向,説明文理解度,教研式「学習適応性検査」, 各教科 (英語,数学,国語,理科,社会) の理解度を評定させた。 調査の結果から,次の3点が示された。第1に,5教科の理解度の平均値を教科理解度とすると,高校初年次生における構造方略の使用傾向が説明文読解と学習適応性を介して教科理解に影響する過程が明らかになった。第2に,高校初年次生の構造方略が教科理解に及ぼす影響過程において,学習適応性の下位因子である「覚え方・考え方」が媒介変数となることが示された。第3に,高校初年次生における構造方略の使用傾向が,説明文読解および「覚え方・考え方」因子を介して,5教科 (英語,数学,国語,理科,社会) の理解に及ぼす異なる影響過程が明らかになった。 以上より,高校初年次生において構造方略の使用傾向が説明文読解や学習適応を介して教科理解をもたらす過程が示唆されたと同時に,理解不振を規定する側面が示された。また,高校初年次生における構造方略の使用傾向から説明文読解を媒介して各教科の理解不振につながる過程と,構造方略の使用傾向から「覚え方・考え方」を媒介して理解不振につながる過程の存在が示された。今回の研究により,次年度以降の研究基盤が果たされたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
28年度の計画を順調に実施することができた点で,上記の自己評価を付した。また,予定した分析方法よりも適切な分析方法を着想できた点に,満足している。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究が一連の研究と基盤となる。これが順調に実施できた点を踏まえて,29年度の研究計画を実施し,以降の研究につなげたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書購入の手続きが遅くなったため,残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度予算で,図書購入の手続きを早々に行いたい。
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