研究課題/領域番号 |
16K04331
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研究機関 | 山陽学園大学 |
研究代表者 |
高橋 功 山陽学園大学, 総合人間学部, 准教授 (10330648)
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研究分担者 |
岩木 信喜 岩手大学, 教育学部, 准教授 (80341593)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 誤記憶の修正 / フィードバック / 漢字 |
研究実績の概要 |
前年度に大学生28名を対象に,誤答フィードバックの有無×確信度の2要因参加者内実験を行い,誤記憶の修正における注意配分仮説に関する検証を行った。統計的な有意差は見られなかったものの,FBの効果が低確信度領域において見られ,仮説を支持する方向のデータが得られた。このデータについて,平成28年10月の日本教育心理学会第58総会で「学習時の誤答の視覚的フィードバックが正答の学習に及ぼす影響―漢字熟語の読み課題を用いて―」というテーマで発表した。また,同学会において「想起の学習促進効果― 学習機会としてのテストの効用―」というテーマで自主シンポジウムを共同研究者とともに企画し,話題提供を行った。 平成28年度は,前年度のデータについて,統計的な検討を行うために,12名の参加者を追加したが,それでも十分とは言えず,更に実験を続けている。 平成28年度の当初予定では,アイカメラを用いて,FB時の参加者の視線を分析することで,注意配分仮説を検証する予定であったが,アイカメラの購入設置とその制御に予想以上の時間がかかり,未だに当初目的の実験を開始することができていない。アゴ台を用いて参加者の顔を固定し,キーボードでの入力を実験者側で行うようにしているが,予備実験では課題時の実験参加者の顔の動きを完全に制御することができず,視線を適切にデータ化することができなかった。このため,モニタの大きさと顔の距離を変化させ,妥当な課題状況を探るための予備実験を繰り返している最中である。それでもなお,試行単位で視線の動きによる分類はかなり困難であると予想されるので,参加者単位で視線の特徴による分類を行い,参加者間の分析に切り替えることも視野にいれている。平成29年度は具体的な学習教材の開発も行う予定であったが,まずはアイカメラを用いた注意配分仮説の検証実験の実施を優先させ,実施を急いでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では,低い確信の誤答と高い確信の誤答を分析することが重要であるが,高い確信の誤答を十分に集めることが難しい。高い確信の回答は正答であることが多いので,これは必然的なことであり,当初から予想されていたことであったが,思った以上に集まらなかった。解決策としては,単純に参加者の人数を増やすことであるが,この実験は一人の参加者につき90分以上かかるため,その追加実験に時間を割かれている。 また,平成29年度の主たる計画であったアイカメラを用いての視線による注意の分析については,アイカメラの購入設置とその制御に予想以上の時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
1回の実験に90分以上の時間が必要なので,学生アルバイトを実験助手として用いて,実験を進めていく。アイカメラを用いた実験の課題状況を整えることについては,エフォートを費やし,急いでいく。これについても,予備実験に学生アルバイトを実験助手として用いて進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については,1つの学会出張は,所属機関での教育研究予算で賄ったため残額が生じた。人件費については,予定していた数の実験ができなかったことと,行った実験については所属機関での教育研究予算で賄ったため残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
出張費については,平成29年度の旅費に追加する。人件費については,実験参加者および実験助手への謝礼に充てる。
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