家族療法の面接を進める上で、コロナ禍における家族の変化を検討する必要があると捉えたため、就労形態(テレワークの有無)、夫婦関係、家族関係についてどのように変化したかについて、父親200名を対象にして、インターネット調査を行った。その結果、コロナ禍において父親がテレワークを実施し、在宅になると、夫婦関係や親子関係、家族機能にポジティブな影響を与えることが示唆された。この成果は学会発表と論文執筆によって発信した。 さらに、3歳から6歳までの子どもをもつ母親300名(専業主婦100名、就労しテレワーク有100名、就労しテレワーク無100名)を対象にインターネット調査を行った。その結果、妻の働き方がテレワークになると家族機能が低下することが示唆された。また、妻がテレワークを行っていない場合に夫がテレワークを行っていると、妻の育児負担が増加することも示された。つまり、コロナ禍における就労形態の影響は夫婦間で乖離している可能性がある。この成果の発信は、2023年度に学会発表と論文執筆によって行われる。 研究全体を通して、家族療法の面接を進める上で直面した性差やジェンダーの問題、それらの問題についての対応、メインセラピストあるいはサブセラピストとの関わり方、セラピスト間の関わり方について変化した点である。これらの結果より、メインセラピストがどのようにサブセラピストに関わるか、そして、サブセラピストの機能やトレーニングのありかたについても知見を提示することができた。これらの知見を基に、実際に行った事例についても学会発表と論文執筆を行い、学会誌に掲載された。研究期間の後半では、面接を行う家族内のジェンダーの事象についてコロナ禍の影響を踏まえて検討を行った。
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