研究成果の概要 |
小学校1年生を対象に, 介入度の異なる3レベルの支援を提供した。レベル1「情報提供」に35名, レベル2「ブリーフCBT」に28名, レベル3「CBT」に29名が参加した。児童は「学級適応感尺度(CA)」と「子どものサポート資源認知尺度(SC)」, 各担任は「子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)」に3時点(T1~3)で答えた。T3で, レベル1ではPS, CA, SC, レベル2ではPS, レベル3ではPSとSCが有意に向上した。効果量は中~大を示した。 学校ニーズに応じた複数レベルの介入効果を児童と教員の複数評価により測り, 子どもの非認知能力の向上を示唆するという成果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、介入度が異なる3レベルの心理教育を学校に提供し効果を測った。学校における予防的心理教育の有効性は認識されているが, 持続可能な実施が課題である。主な障害は, 時間的制約, 実施者の理解や力量, 経費などである。学校ニーズとリソースにより選択できる複数レベルの支援提供は, 持続的な実践を促進すると思われる。 学級適応感, サポート資源認知, 向社会性が, 各3レベルにおいて有意な向上を示した。学校における予防的心理教育が, 不安やうつ, 行動の問題の減少を測る研究が多いなか, 学校ニーズに応じた異なる支援レベルにおいて, 非認知能力の向上を示した本研究成果には学術的かつ社会的意義がある。
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