研究課題
本年度は、5つの作業を主に行った。第一に、修正感情体験が顕著な一事例の分析である。ビデオ、尺度データ、メール、など複数のデータ源を用いて、系統的一事例研究を進めた。面接中の修正感情体験、そしてそれによって喚起される面接外での修正的体験のつながりについて検討している。国際大会でその途中経過を報告し、現在論文投稿準備中である。第二に、修正感情体験尺度の開発である。24項目からなる感情変容および修正感情体験の諸側面に関する質問紙であり、クライエントに回答してもらう。8名のクライエントから約200セッションのデータを集めた。妥当性を検討する論文を投稿し、現在投稿中である。第三に、Accelerated Experiential Dynamic Psychotherapyの効果研究から得られたデータの分析である。系統的一事例研究、効果に関するデータ、介入初期における感情変容のプロセスなどについて、量的分析、質的分析を行って、修正感情体験について包括的に検討した。これらの成果は、2つの国際大会で発表し、現在論文執筆中である。第4に、AEDP研究の発展としてノルウエイのModum Bad病院において、うつの入院患者治療におけるAEDPを基礎として治療プログラムの効果研究に着手した。また、そのために修正感情体験について検討するための尺度の開発を行った。最後に、修正感情体験を促進する心理療法介入の効果とプロセスの検討である。15回のセッションを5人のクライエントに対して実施した。面接はすべて録画し、面接前後にクライエントに質問紙の回答をしてもらい、修正感情体験について量的・質的データを集めている。その結果が現在も分析中である。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 8件)
Clinical Psychology and Psychotherapy
巻: 1 ページ: 1-16
DOI: 10.1002/cpp.2150
Pragmatic Case Studies in Psychotherapy
巻: 14 ページ: 58-68
http://dx.doi.org/10.14713/pcsp.v14i1.2033
臨床心理学
巻: 19 ページ: 1-5