研究課題/領域番号 |
16K04354
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
葛 文綺 名古屋大学, ハラスメント相談センター, 講師 (80412386)
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研究分担者 |
間々田 孝夫 立教大学, 社会学部, 教授 (10143869)
松崎 佳子 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30404049)
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (90303651)
中澤 未美子 名古屋大学, ハラスメント相談センター, 助教 (80777300)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハラスメント / ハラスメント防止体制 / ハラスメント相談 / ハラスメント防止規程 |
研究実績の概要 |
大学におけるハラスメント相談は心理学の領域では新しい分野であり、相談員の専門性の向上や有効なハラスメント防止・相談体制の構築などが大きな課題である。本研究の目的は全国の大学のハラスメント防止・相談体制について調査・分析を行い、より効果的なハラスメント防止・相談体制のガイドラインを作成することである。 平成28年度の主な研究計画は全国の大学を対象に、ハラスメント防止・相談体制の構築について質問紙調査を行うことであった。そこで本研究の初年度では研究計画に基づき、全国の国公私立大学780校を対象に質問紙調査を実施し、回答は313校で、回答率は40.1%であった。 結果、相談体制において、ハラスメント専門の相談室の有無によって、相談できる者の立場、相談の形態、加害者とされる者への対応、運営上の課題などに違いが見られた。専門相談窓口があることで、家族からの相談や加害者からの相談等、幅広く対応可能である一方、窓口がない大学ではケースに応じて柔軟な対応形態を有していることが考えられた。 防止体制において、今回のアンケート調査に回答した大学のうち、9割近くの大学はハラスメント対応のための制度として「調査」制度を設置していることが明らかとなった。また、学部生数が多い大規模校の方が小規模校よりハラスメント問題を解決するための制度の設置率が高い。これは大規模校の方がハラスメントに関する相談が多く、必要に応じてさまざまな制度を構築していると考えられる。また、大規模校の方が教職員の人数も多く、より多様な対応が可能になっているとも考えられる。 また、ほとんどの大学にハラスメント対応の委員会が設置され、多くの大学でハラスメントの啓発・広報活動も実施され、大学がハラスメント対応の組織体制を整えている一方で、8割近くの大学ではアンケート調査によるハラスメントの実態把握を行っていないことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、全国の大学を対象にハラスメント防止・相談体制を調べることが主な課題であったが、質問紙を作成し、調査を実施することができた。また、調査の結果分析も進めていた。これは初年度想定していた計画に、遅れることなく遂行できている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は前年度に得られた質問紙調査の結果を踏まえ、特色が異なる大学が、それぞれの大学の特色に基づき構築しているハラスメント問題を解決するための手続きを、インタビュー調査を通してより具体的に尋ねる。それぞれの大学が自分の大学の特色に合わせて行っている防止・相談上の工夫などを明らかにする。 平成30年度では質問紙調査およびインタビュー調査の結果をまとめ、大学の特色にあったハラスメント防止・相談体制の構築に関するガイドラインを作成し、各大学に配布する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加あるいはインタビューのための出張旅費として使用する予定であったが、いずれも次年度に実施することになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
協力校へのインタビューを実施するための旅費およびインタビュー記録のテープおこしなどの費用にあてる予定である。
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