研究実績の概要 |
児童・生徒に自己報告式の心理検査を実施したとき,社会的望ましさは,成人と同じように得点に影響するのか,影響があるとすると何歳くらいから影響しだすのかを,気質検査を用いて検討した。社会的望ましさは,ある文化の信念体系が内在化されたことの現われであると考えるなら,どこかの年齢段階で検査得点への社会的望ましさの影響が成人と同じように影響すると考えられる。つまり,社会的望ましさの影響が児童・生徒と養育者とで類似してくるといえる。 10歳から15歳(小学5年から中学3年)までの児童・生徒とその母親359ペア。10歳(21人, 男12:女9),11歳(76人, 34:42),12歳(80人, 33:47),13歳(67人,37:30),14歳(73人,39:34),15歳(42人,20:22)に,気質の質問紙EATQ-Rの児童・生徒版と養育者版のいずれにも存在するActivation Control, Attention, Inhibitory Control, Affiliation, Aggression, High Intensity Pleasure, Fear, Shynessから3項目,Depressive Mood, Frustrationから2項目を短縮版として実施した。2017年11月8日~15日で通常に検査を実施し,11月22日~28日に各項目の社会的望ましさを評定させた。 年齢段階を10から11歳,12から13歳,14歳から15歳の3段階に分け,各尺度の得点と社会的望ましさ評定を児童・生徒と母親それぞれに求めた。その結果,年齢に伴って,母親と児童・生徒の社会的望ましさの評価は類似してくることが分かった。Fakingについては,Faking Goodの傾向は次第に母親の子どもの評価とは関係なくなり,Faking Badの傾向は関連が少しずつ強くなっていることも分かった。
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