自己報告式の心理検査得点に偏りをもたらす社会的望ましさが,成人と同様の影響を与えるようになるのはいつごろかを,前青年期(10歳~15歳)の児童・生徒とその母親359ペアに,気質質問紙EATQ-Rを実施することで検討した。児童・生徒の得点への社会的望ましさの影響の仕方は,年齢が上がるにしたがって,母親のそれに類似してくることが分かった。社会的望ましさは,ある文化の信念体系が内在化されたことの現われであると考えられるので,前青年期段階でこのような内在化が完了しだすことを心理検査における反応の偏りという観点からも明らかにできた。
|