研究実績の概要 |
令和3年度は,研究1「児童支援員と心理職の連携の在り方の提案」として,児童にあった支援方針と具体的な支援内容をその児童に関わる大人(心理職と放課後児童支援員だけでなく保護者も含めて)が共有するモデル実践事例検討を行った。支援方針と支援内容の共有に当たっては,児童支援員と心理職が連携して作成する「児童理解サマリー」,「児童理解チェックシート」,「児童支援チャート」の3つの様式の作成を行った。モデル事例となったのは,小学校1年男児で,本研究において開発されたアセスメント方略を用いた児童理解を行い,その結果を心理職と児童支援員による合同ミーティングにおいて共有し,支援方針を検討した上で,保護者との三者面談を実施した。これにより,児童の心理的状態についての理解を共有し,今後の支援の在り方について合意を得た。 研究2「児童支援に役立つ心理アセスメント方略の開発」では,児童理解サマリーを作成するための児童理解方略の基礎研究を行った。本研究で開発した「円環家族関係イメージ図」の解釈方略を検討するために,女子大学生57名に対して,「円環家族関係イメージ図」と家族関係機能尺度を実施した。作成された家族イメージ図の分類カテゴリーの定義と基準を提案した上で,カテゴリーの違いによる家族機能(団結性と対等性)尺度得点との関連を統計的に検討した。その結果,統計的な有意差はないが,イメージ図がバラバラに配置されている分離群は,団結性・対等性のどちらの得点も他の群よりも低い可能性が示唆された。また,複数のマルが重なり合っている密集群は,家族成員間の分離・独立の問題が危惧されるが,対等性が高いことから,子供が家族に果たす役割が大きくなっていることを表していることが考察された。 また,本年度は研究最終年度のため,これまでの研究全てをまとめた最終報告書の印刷製本を行った。
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