研究課題/領域番号 |
16K04384
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
加藤 司 東洋大学, 社会学部, 教授 (50408960)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | coping / coping flexibility / depression |
研究実績の概要 |
当該研究では、申請書に記載した通り、ストレス・コーピング(ストレスに対する対処行動)の枠組みによって、抑うつ症状の慢性化(あるいは再発)の仕組みを解明し、予防する方法を提唱するために研究を行いました。具体的には、コーピングの柔軟性に焦点を当て、コーピングの柔軟性仮説を実証する研究を行いました。コーピングの柔軟性仮説とは、簡単に言えば、コーピング方略を柔軟に変化させることができるほど、ストレスを緩和する、というものです。コーピングの柔軟性仮説の基盤になるものが、コーピングの柔軟性に関する2過程理論ですが、この2過程理論は、申請者や海外の研究者たちによって、2過程理論が妥当であることが実証されています。 一方、Nature誌のうつ病特集(平成26年11月)では、科学者がうつ病研究に取り組む重要性と、うつ病に対する心理的アプローチの有効性が論じられています。うつ病や抑うつ症状が慢性化することは良く知られていますが、ここ10年間で、うつ病や抑うつ症状の慢性化に関する要因のひとつとして、ストレスとコーピングが関与していることが、生理学的研究によって明確になりつつあります。WHOも、うつ病患者におけるコーピングの重要について言及しています。このように、当該研究を実施することは意義のなることだと思われます。 平成28年度は、上記の目的を達成するために、主に、以下の方法により、研究を実施いたしました。(1)慢性的な抑うつ症状を呈する人々を対象に、慢性化のプロセスを解明するために、実験を実施いたしました。(2)コーピングの柔軟性が抑うつ症状の慢性化にどのように関与しているかを明らかにするため、質問紙調査による縦断的調査を実施いたしました。 具体的な研究成果の報告は、研究業績欄を参照ください。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した通りに研究は進んでいます。申請書に記載した当初予定していた問題も現在は起こっていません。 次年度以降の研究を、計画書通りに実施する準備も整っています。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した通り、研究を実施すべく、計画しています。具体的には、平成29年度は、3つのアプローチから、研究を実施する予定です。 (1)実験によるアプローチ:国内の研究では、平成28年度からの実験を引き続いて実施します。具体的には、研究代表者は6か月後のフロー調査を実施し、連携研究者は、第3回目の実験および6か月後のフロー調査を実施します。 (2)縦断的質問紙調査:平成29年度からは、海外における縦断調査も実施する予定です。国内調査は継続実施します。 (3)介入研究:平成29年度の前半までに、実際に実施する介入方法のマニュアルを完成させ、打ち合わせをしたのち、平成29年度中に、国内と海外において、介入研究を実施します。現在実施している海外の介入研究に合わせて、3か月間の間隔をあけて、3度の介入(介入期間は5日間:月曜から金曜)を実施し、介入終了6か月後と12か月後にフォロー調査を行います。
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