研究課題/領域番号 |
16K04388
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡島 義 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (50509867)
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研究分担者 |
福田 一彦 江戸川大学, 社会学部, 教授 (20192726)
亀井 雄一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, その他, その他 (60233970)
駒田 陽子 東京医科大学, 医学部, 客員准教授 (40451380)
井上 雄一 公益財団法人神経研究所, 研究部(代々木), 研究員 (50213179)
福井 眞 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (90754573)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 不眠症 / クロノタイプ / うつ病 / 過覚醒 / フェノタイプ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,不眠症のフェノタイプに合わせた認知行動療法を開発し,うつ病の発症・再発の予防効果について検証することであった。本年度は,不眠症のフェノタイプごとに,生理的,心理的特徴が異なるかどうかを検討するため,インターネットを介した大規模調査を行った。 アンケートは調査会社を通じて実施し,10,000のサンプルデータを回収した。その中から,シフトワークなどの不規則な生活をしている者を除いた6034名を分析対象とした。調査項目は,フェノタイプ(入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒),クロノタイプ(MCTQ),不眠重症度(ISI),入眠前過覚醒(PSAS),睡眠反応性(FIRST),非機能的信念(DBAS),日中の眠気(ESS),不安・うつ症状(HADS)であった。 フェノタイプの組み合わせから,単一症状の3群(入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒のいずれか)とそれらが複数存在する混合型4群(入眠・中途型,入眠・早朝型,中途・早朝型,入眠・中途・早朝型)とそれ以外の健常群の合計8群を設定し,各尺度得点について比較した。まず,フェノタイプを独立変数,各尺度を従属変数とした分散分析を実施したところ,フェノタイプ間に複数の有意差が認めれたが,全体的な傾向として,単一症状の群間では有意差は見いだせず,症状が混合化することで各尺度得点が高まることが示された。また,デンドログラムを作成し全体的な傾向を把握した。その結果,MCTQは入眠困難を含む群 vs. それ以外の群,ISI/HADS/DBAS/PSASは単一症状群 vs. 混合型群,FIRSTは早朝覚醒・健常群 vs. それ以外の群,ESSは中途・早朝群 vs. それ以外の群にグループ化された。 以上の結果から,不眠症をフェノタイプごとに生理的,心理的特徴が異なるため,認知行動療法の治療効果を高めるためにもそれぞれに合わせた治療法を提供することの必要性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1万人のサンプルデータを収集し,それをフェノタイプごとにグルーピングして解析したのは当初の計画通りである。一方で,医療機関に通院する不眠症患者およびうつ病患者への調査は現在進行中であるが,まだ十分なサンプル数は確保できていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,収集したサンプルデータをさらに詳しく解析するとともに,医療機関に通院する患者を対象にした調査を実施する。それの解析結果を踏まえた 上で,新たにphenotype-oriented CBT-Iを開発する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は,収集したデータの素解析にとどまった。本年度は,詳細な解析を行うために解析補助アルバイトを雇う予定である。また,医療機関に通院する患者を対象にした調査を実施し,回答者への謝礼を支払うとともに,学会での成果の発表を行う。さらに,開発したプログラムを冊子化する費用に充てる予定である。
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