研究課題
本研究の目的は,不眠症のフェノタイプと睡眠覚醒リズム,不安・抑うつ症状との関連性を明らかにすることであった。不眠症の フェノタイプごとに,生理的,心理的特徴が異なるかどうかを検討するため,インターネットを介した大規模調査を行った。 アンケートは調査会社を通じて実施し,10,000のサンプルデータを回収した。その中から,医療機関に通院中のものを除いたGood sleeper(GS)群,不眠重症度尺度(ISI)がカットオフ値を超える者を(1)入眠困難群,(2)中途・早朝覚醒群,混合群に振り分け,合計5,427名を分析対象とした。調査項目は,フェノタイプ,クロノタイプ(MCTQ),不眠重症度(ISI),入眠前過覚醒(PSAS),睡眠反応性 (FIRST),非機能的信念(DBAS),日中の眠気(ESS),不安・うつ症状(HADS)であった。その結果,入眠困難群はGS群よりも夜型傾向,中途・早朝覚醒群はGSよりも朝型傾向にあることが示された。また,不安・うつ症状は,GS群<中途・早朝覚醒群<入眠困難群,混合群の順で得点が高く,GS群と各フェノタイプ群との間の効果サイズも中~大であった。これらの結果に基づいて,睡眠覚醒リズムをターゲットにした認知行動療法(5セッション)を開発し,不眠を伴う成人の発達障害患者6姪を対象に,オープンとライルを実施した。その結果,治療後の不眠重症度(ISI)の改善効果は大きく(Cohen's d > 0.8),生活の支障(SDISS),不安(HADSa)の改善効果は中程度(d >0.5),うつ(HADSd)に対する改善効果は小さかった(d > 0.3)本研究は,不眠症のフェノタイプとクロノタイプ(朝型・夜型)および不安・抑うつとの関連性を大規模サンプルによって実証した点,および結果をもとに新しいCBTを開発した点で重要な研究といえる。
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