研究課題/領域番号 |
16K04396
|
研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
笹竹 英穂 至学館大学, 健康科学部, 教授 (00319229)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | デートDV / 束縛行為 / 恋愛観 / 献身 |
研究実績の概要 |
平成28年度は以下の2点についての研究を行った。 1 デートDV防止講座の効果検証 高校生を対象にデートDV防止講座を実施し,その効果検証を行った。デートDV防止講座は心理的暴力の束縛行為に限定し,その定義や事例,メカニズムなどを説明した。そして束縛行為に愛情を感じる程度を指標にして,効果を検証した。その結果,デートDVの定義として,グレーゾーンを含めて説明した方が,デートDVを適切に理解し,束縛行為に対する愛情を減少させることが明らかとなった。研究成果は論文にまとめ心理臨床学会に投稿したが,残念ながら採択はされなかった。査読結果から判断すると,論文の目的が十分に査読者に伝わらなかったのではないかと考えられる。そのため前書きを書き直して,他の学会に投稿する予定である。 2 束縛行為に愛情を感じる程度と恋愛観の関係 束縛行為に愛情を感じる程度には,恋愛観(献身)が影響を与えているかどうかを明らかにすることを研究目的とした。大学生男女約300人を対象に調査を行った。恋愛観(献身)のイメージを測定するために,自由記述式アンケートを実施し,テキストマイニングを行ってキーワードを抽出した。そしてそれを基に質問項目を作成し,得られたデータを用いて因子分析を行って恋愛観(献身)イメージ尺度を構成した。分析の結果,男子では恋愛観(献身)のなかでも幸福因子が,女子では不本意因子が,束縛行為に愛情を感じることに影響を与えていることが明らかとなった。現在論文にまとめ,投稿の準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は2本の研究テーマについてデータの収集を行うことができ,そのうち1本は論文にまとめて投稿することができた。他1本についても現在論文を作成中である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究計画は以下のとおりである。 1 束縛行為に愛情を感じる程度と恋愛観の関係 この研究テーマについては,現在論文を作成中であるが,早い段階で論文にまとめ,学会誌に投稿する予定である。 2 束縛行為に対する反論を無効化する交際相手のメッセージの解明 交際相手から束縛行為を強要された場合,拒否しようとして反論することが一般的である。しかし反論しても,交際相手はさまざまな理屈や態度を巧みに用いて,束縛行為に従わせようとする。最終的には反論が無効化されて,束縛行為に従わざるを得なくなり,デートDVの被害が生じる。このような被害を防止するために,反論を無効化する交際相手の言語的あるいは非言語的なメッセージを解明することを本研究の目的とする。平成29年度の前期にデータを収集し,後期に分析をする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会発表のため3回にわたり出張したため,旅費の支出が大きくなり,予定していたパソコンの購入費用が捻出できなくなった。そのためその分の金額の予算執行ができなくなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究成果の発表を優先させたいため,本年度も学会発表などの旅費の支出の見通しが立った段階で,パソコンの購入を検討したいと考える。
|