研究課題/領域番号 |
16K04400
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
石原 宏 佛教大学, 教育学部, 准教授 (40378500)
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研究分担者 |
黒田 恭史 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70309079)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 箱庭 / 視線 / 注視 / 注視時間 / 注視回数 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,まずは,平成28年度のデータを補うべく,平成28年度と同様の手続きにより,メガネ型の視線計測装置(Tobii社製,G2-50ワイヤレス)を用いて,箱庭制作の最小単位となる「一つのアイテムを選び,置く」過程における視線移動データの収集を行った(調査協力者4名:男2名,女2名)。 その後,箱庭制作者の視線移動の基本的特徴を記述することを目的に,平成28・29年度に収集した視線移動データ(調査協力者:大学生・大学院生9名,平均年齢22.33歳)の分析を行った。 【分析方法】大浦・佐々木(2016)などを参考に動画解析ツールELAN(Max Planck Institute)を用いて,10msごとの注視点の位置を抽出し,(1)選択アイテムの注視回数,(2)選択アイテムの合計注視時間,(3)選択アイテムの注視時期,(4)アイテム定位領域の注視回数,(5)アイテム定位領域の合計注視時間,(6)アイテム定位領域の注視時期等を集計した。 【結果】全データを合計すると,砂箱に置く一つのアイテムを選ぶという条件下で生起した,選択アイテムを注視する回数は,74回であった。そのうち69回(93.2%)は,1000ms未満の注視であり,瞬間的な注視によって選択アイテムが決定されていることが明らかとなった。選択した一つのアイテムを砂箱に置くという条件下で生起した,砂箱を25分割した場合のアイテム定位領域を注視する回数は,78回であった。そのうちの73回(92.3%)は,1000ms未満の注視であり,アイテムを定位する領域も瞬間的な注視によって決定されていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度に生じた調査実施の遅れが,平成29年度の研究進行にも影響を及ぼしたため,平成29年度の分析は,視線移動特徴の記述に留まり,当初予定していた「視線移動‐マクロな行動‐主観的体験の語り」の関連の分析が未着手になっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に予定していた「視線移動‐マクロな行動‐主観的体験の語り」の関連の分析を平成30年度前半に行い,本人に自覚的で想起可能な側面と無自覚的で想起困難な側面の両面を含めて制作者の心理過程を明らかにする当初の目的を達成したい。
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備考 |
滋賀大学データサイエンスセミナーにおいて「『箱庭療法』における視線分析の試み」ととして平成29年度の成果発表を行った(2017.11)
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